『トラウマ』
バレンタイン、ホワイトデー、ハロウィンにクリスマス。それらすべてを呪った。
とある動画配信サービスで見たコメント
『ヒロインが嘔吐する作品は良作』と言うのを見て咄嗟に書いてしまった作品。
恋愛要素は少なめですッ...!
「景虎君ッ…私と…私と付き合って下さい!!」
「よ、喜んでッ...!」
「え?ま、マジ…?やったッ...ギュッ〜!!」
「って!?るぅうううまああえろぉおおおおまえぇえええ!?!!」
「えええ!?大丈夫ッ...?景虎君ッ…」
「ごめん…俺なんかトラウマ持ちみたいでさ…原因は分かんないんだけど中二の時に俺拐われてさ…そっから女の人に触られると嘔吐しちゃって…」
「それって重症じゃない…しかも私達手も繋げない」
「ごめん。やっぱりさっきの話無かったことにして。俺、赤兎馬さんに迷惑かけられない。」
「ダメッ...」
「え?」
「景虎君のその病気は私が治すんです!!」
「赤兎馬さん…」
「私もね。景虎君と同じなの」
「え?」
「私も中二の時に誘拐されて、その時のショックであんまり覚えてないんだけど…確かその辺だった。『可愛い』って言われると吐いちゃう様になったの」
「『可愛い』?」
「んどぅばぁああああああ!?」
「うぇ!???ちょ赤兎馬さんッ...しっかり!!!今のは条件反射で『可愛い』って繰り返しちゃっただけ…」
「どっとはっくぅうううううう!??!?ぼぅびいかげんにじだはいッ!!!!!」
「ごめんなさいごめんなさい触らないでうわぁああああああああああああああ」
これがこの二人の馴れ初めであった
◆
一向に治る気配のない二人は遂に病院に行くことに…
肌寒い10月後半。
世の中はもうすぐハロウィンが近づこうとしていた。
場所は清潔感漂う病室。
精神科医だろうか...そこに先ほど冒頭に現れた二人に加え、白衣が驚く程似合い、髪を後で結って身体の起伏が激しい女性の合計3人が丸椅子と作業椅子に座っていた。
「こんにちは。今日はどうしたんですか?」
「彼女が」
「彼が」
「「トラウマもちなんです」」
「どんな症状ですか?」
女医はカルテに慣れた手つきで何かを書き加えていく。
「俺が女性恐怖症って言うか...女性に触れられただけで、条件反射で吐いてしまって...」
「どれ」
ちょん。女医の指先が男の腹部に触れる。
「~~~~!??!?ヌゥンヌワアアアアバアアアオエエエ...」
「山田君処理お願い。衣服の上からでもダメっと」
「景虎君ッ!?大丈夫...?」
景虎弌。景虎の横にいる女性は赤兎馬京子。京子は快方しようにも触れない事にハッとなり、声をかけることしか出来ないでいる。
「貴女は?」
「えっ〈可愛い〉って言われると...」
「可愛い」
「あっ、男の人に言われるのがダメみたいで...」
「ハァ...ハァ...京子ちゃん〈可愛い〉よ...」
「え、ーーーウボハァアアアアア!?!???」
「山田君処理お願い。男性に〈可愛い〉と言われるとダメっと」
女医は再びカルテに書き連ねる。
「景虎君ッ...後で覚えてなさい...」
「ヒィ!?仕方が無かったんですごめんなさい!!」
「先生...私達の症状...」
「端的に申し上げれば重症ですね。下手すれば死に至るかと」
「「な、なんだってッー!?」」
「病院では静かにしてください」
吐瀉物を処理している山田の注意が、病室に物悲しく響き渡った。
※2015/01/11加筆&修正
皆様のトラウマってなんですか?
私は食べ物を咀嚼する時に口を開けてくちゃくちゃ食べる人いるじゃないです。あれがあの音がトラウマものって言うか鳥肌立っちゃってストレス溜まってる時は癇癪起こしちゃいます。
原因はわからないんですがね物心ついた時からでした。
これトラウマって言うより潔癖症候群に近いらしいですけど…
何かご意見ご要望御座いましたらどしどしメッセージ送ってくださいませー