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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

終焉の星

作者: tukimine

 ある所に、とても仲の良い兄妹が暮らしていました。

 親も親戚もいません。

 2人きりです。

 兄は生まれつき強大な力を持っていました。

 それに嫉妬した周りの人々は、兄には敵わないので妹に八つ当たりを始めたのです。

 妹は生まれつき病弱で、気の弱いコでした。

 言い返すこともやり返すことも出来ず、ただじっと我慢しました。

 人々の罵声や暴力は、妹にとって酷く応えました。

 ある日兄が言いました。

「お前をイジメた奴らは、俺が全員殺してやる!!」

 それを聞いた妹は、兄の手を取り、優しく微笑みかけて言いました。

「お兄ちゃん、いいよ……そんなことしないで。私の為にお兄ちゃんが傷つくなんてイヤだよ……」

 兄はそっと妹を抱きしめました。

「…お前はなにも気にするな。奴らがほざいてることは、俺への当てつけだ。全部……俺に任せとけ……」

 兄の背中に腕を回して、妹はシクシクとすすり泣きました。

 人々の態度は相変わらずです。

 来る日も来る日も妹に八つ当たり。

 そしてとうとう……妹は寝込んでしまいました。

「ごめんね……」

 その言葉を何度何度も聞きました。

 兄は込み上げてくる殺戮衝動を必死に抑えました。

 全て妹の為……。

 



  ある晩、妹が高熱を出してしまいました。

 兄は仕事をほったらかして、つきっきりで看病します。

 妹が熱で潤んだ瞳を開きゆっくりと手を伸ばしたので、兄はその手をがっしりと痛い程力強く握りました。

 妹は弱々しい声で言います。

「ごめんね……」

 妹は瞳を閉じ、頬に一筋の涙が流れました。

 その時です。

 握っていた手が急に重く、そして、とてつもなく冷たくなりました。

 顔に触れると手よりも冷たくて、見れば青白くなっていくのが分かります。




 ―――――もう、その目は開かない……?俺を……見てくれない……?あの声で、もう俺を呼んでくれない……?

 俺は、もう……………1人─────

 ――――――――

 ――――――――――――――――

 ―――――――――――――――――――――プツン




 ………最後まで助けようとしなかった餓鬼ども……見て見ぬフリしてた大人……イジメて思い上がってた奴等………全員許さない!!

 助けられなかった……………俺も許さない!!!



 ドオオオオオオオン!!!




 兄の強大な力は更に強大となり、それは兄の姿さえ変えてしまいました。

 我を忘れた兄は全てを滅ぼしました。

 人も家屋も自然も、自分さえも…。

 唯一残ったのはボロボロになった星だけ。

 その星の名は「冥王」

 原形からすっかり変わって小さくなってしまったので、それは星と呼ばれることがなくなり存在を忘れ去られてしまいました……。


  end


冥王星が惑星ではなくなり、もしもこんなエピソードがあったら面白いな、と思い執筆に至りました。短編ですので、妹がイジメに遭っている部分や、兄妹の仲睦まじい日常は省きました。読者様のご想像に任せようと思います。ここまでご覧いただきありがとうございます。

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