第8話ヨシキ活躍編4
帝国の首都から離れた地に位置する地図にも載っていないといわれる小さな村。名はホローという。村人の人口はおよそ120人。帝国の村の平均人口は500人。その点から見てもこの人口はものすごく少ないということが分かる。建物もままならない。少ない集落にある何の変哲もない小さな馬小屋のような家。そこには、2人の青年が隠れ住んでいた。
「ヨシキ、早く起きろよ。朝だぞ」
「ううん。相変わらず言うが俺のことは本名のヨシキではなく一族の名としてのジョエルと呼べと言っただろリキチャン」
「俺は本名のままだが………」
その2人の青年というのはかつて、帝国の大臣の職に就いていたヨシキとリキチャンであった。彼らがやめさせようとした魔術大戦はあれから数年、帝国の事実上敗北というもので終わった。それによって世界は平和となった、と言いながら平和ではない。まだ、何一つとして問題は解決していないのだ。
今日も帝国内の情報を集めているヨシキことジョエルの下に新たな情報がもたらせたのである。その情報をもってきたのはもちろんリキチャンである。帝国の元情報大臣としての情報収集能力の実力はまだ衰えていたないものである。
「そういえばヨシキ、重大な情報を仕入れたぞ」
リキチャンがジョエルにさっそく持って来た情報のことを話す。
「情報? それってもしかして帝国の上層部で何か起きたのか?」
ヨシキは適当に答える。リキチャンはヨシキが適当に答えたとは知らずに驚いた感じに答える。
「ああその通りだ、何でもリーザ様が逃走したようなんだ。帝都では大混乱らしい」
「ああ、何だリーザ様が逃げたのか……」
ジョエルはリキチャンからの話をそのまま聞き流そうとした。しかし、次の瞬間に先ほどまでの話の重大さに気が付きそして、声を荒げる。
「えっ!? 皇女リーザ様が逃走をした!? これはまた嵐になるぞ」
「ああ、そうだな。帝国の時期皇帝に皇女の地位に就いているリーザ様を就けようとしていた一派はこの事態を非常に重く見ているに違いない。特に、あの筆頭大臣はな。なあ、ヨシキ。お前ははこれからどうするんだ?」
リキチャンはジョエルの意志を確認する。
「もちろん行くぞリキチャン。リーザ様を探しに」
「ふん。なるほど。お前ならそう言うと思っていたぜ。行くぞ俺も」
「そうか。でも、まずはご先祖様が作ったあの組織を復活させる」
「ああ、あの『赤い盾』か。赤い盾を復活させるなんて何ていう因縁なんだろうな。あの組織は昔もこういう激動の時代に作られていたからな。とりあえず本部は連合国に作ろう」
「どうしてだ? 別にこのあたりなら帝国の上層部も気付かないだろ?」
「皇女様は戦争反対派だ。その皇女様がいなくなったら奴らは連合国と再び戦争をするだろう。俺達は、かつて帝国の政策に反対したものだ。もちろん今回のも認めない。だから連合国の力になろう」
「そうか。じゃあ連合国に行くか」
リキチャンはジョエルがそう言うとさっそくこれからのことを簡単にジョエルにへと伝える。
「一応王子と知り合いだから軍に入れてもらえるだろう。連合国は兵力不足だから一部隊の隊長にぐらいなれるぜお前の実力なら」
こうして俺とリキチャンは連合国に向かった。もちろん今まで自分たちが住んでいたこの家は俺達が生きていたことが帝国軍に気が付かれないように証拠となりそうなものは全て持っていくか、焼き払い後にした。帝国と連合国の国境をばれないで通り抜けるのも至難の技であったがどうにかなった。そして、連合国軍の軍の一部隊の部隊長になった。
皇女リーザ様と行動を共にしていたナヲユキ達と知り合うはまだ先の話だある。
次回より新編ケント編が始まります。