表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/149

第7話ヨシキ活躍編3

 その日の深夜。

 ザワザワ。ヨシキは自分の家の周りが騒がしいことに気づいた。


「まったくどこの誰だ! 俺の家の周りで騒いでいる奴は…」


そう言い、俺は家の外に出た。しかし、


 「筆頭大臣ヨシキ様。国家反逆罪の疑いがでています。どうか抵抗せずご同行してください」


数人の騎士団員に囲まれていた。逆らうことのできない雰囲気であった。そして、少しでも抵抗を見せたら殺されるぐらいの緊迫したものであった。

「…………」


 なぜだ、なぜバレた。とりあえず、俺は何も知らない。ただ戦争を止めようとしただけなのにどうしてだ。

 まさか、誰かが見張っていたのか? そうなると戦争賛成派の仕業か。反対派の俺が筆頭大臣をやっていれば邪魔であるからその線が一番濃い。


「先ほどリキチャン大臣様も捕まりましたよ。あなたたち二人がある計画を企てていたことを知っていますよ」


俺はそのままマドー城に連れていかれた。そしてそのまま皇帝の前で俺とヨシキは立たされた。


 「ヨシキよ、朕はそなたに失望した。そなたの罪はとても重い。牢獄に入って反省するがよい。本来なら処刑だがそなたの才能のことを考えて甘くしたのだぞ」


「皇帝閣下。これは、民のための聖断なんだ」


俺のこの思いが皇帝に届けば。


「それでそなたは朕を殺そうとしたのか」


はっ? 俺が皇帝を殺そうとした? 何の話だ?


「待ってください。俺はそんなこと考えてません。ただ戦争を止めようとしただけです」


「嘘をつくのか。滑稽滑稽。そなたらの野望はすでに報告されておる。朕を殺そうとしたのだろ」


「違います。どうか信じて下さい。俺達はただ戦争を終わらせようとしていただけでして…」


「嘘をつくな、ヨシキ筆頭大臣。いいか。そなたらは全役職解任の上、牢獄に20年。そこで反省でもしていろ」


 「待ってください皇帝閣下。少しでもいいので俺の話を…」


しかし、皇帝は俺の話に耳を傾けることなく行ってしまった。こうして俺とリキチャンはいわれ用のない罪で牢獄に入れられることになった。周りを見渡すと戦争賛成派の貴族たちから不気味な笑みが漏れていた。俺はすぐにわかった。これは、俺とリキチャンを失脚させるための策略だということを。実際に、13人の大臣のうち戦争反対派は俺とリキチャンの二人だけだった。俺たちが失脚すればやつらからすれば全ておさまるという話だ。


 「ヨシキ。とりあえず俺達はこの命令を素直に受けよう。ここで受けなければ本当に疑われてしまうからな」


 「……ああ、仕方ないか」


 俺とリキチャンは牢屋に連れて行かれた。

 結果として俺は、リキチャンとともに牢獄に入れられた。

 まさか牢で生活をする日がやってくるとは思ってもいなかった。


 「何でこんなことになったんだ。俺らは、戦争をやめさせようとしただけなのに」


 「おいおい、この二週間同じ事しか言ってないぞ。ヨシキ」


 「…………そうだな」


 かれこれ二週間たってしまったが、意外と牢獄での対応は良かった。食事も朝昼晩質素だがきちんと取らせてもらっているし、看守の目はそこまで厳しくはなかった。そのためか嫌なことに少しずつ慣れ始めてしまっている。人間、慣れとは恐ろし物だ。このまま、ずっとここにいるのかと考えていたところ、リキチャンに声をかけられた。


 「でも一体どうするんだ? これからは?」


そうだなと言いかけたところで誰かの足音が近づいてきた。


 「誰だっ。看守ならこの時間には来ないぞ」


 帝国の牢獄には決まりごとが存在し、看守の見守る時間は決まっている。なので、この時間には看守は絶対に来ない。ヨシキは、その足音のする方を向いた。


 「ヨシキ元筆頭大臣様。死んで下さい」


 「えっ!? あなたはナオ……」


 ザクッ


 俺の腹の辺りから嫌な音がした。見てみると、腹の周りから大量の赤い血が流れていた。短剣が刺さっていたのだ。


 「ヨシキ~、ヨシキィィィ」


 リキチャンが、俺の横で叫んでいる。


 「あなたも死んで下さい」


 ザクッ


 同様にリキチャンの方から嫌な音がした。リキチャンもやられたのか。やばい意識がだんだん遠くなっていく。そのような中、俺とリキチャンを刺した犯人は何かつぶやいていた。


 「すいません……。私にはこれしかあなた達を助ける方法はなかったのです。あとは、頼みましたよ……」


 その言葉の後、俺達は目的を果たそうとした。だから、今は寝よう。           

 後日。帝国の看守によって報告がなされた。


                 報告

本日未明。ヨシキ元筆頭大臣様。リキチャン元情報大臣様の牢獄にて大量の血痕が残されていました。

両者の姿は無いため、逃走したと考え調査しましたがその結果、周囲で目撃者などが見つからなかったことより両者の死亡であると判断されました。これにより2人の永久犯罪人を決定しました。また、皇子ナオトが私室に戦地を巡回するという置手紙を置いて姿を消しました。両事件の関係性はないと判断します。


 その後、この2人の後任はすぐに決まった。帝国の上層部は混乱なんかしなかったのだ。


 そして、あれから数年。帝国が戦争を休戦してから4年の月日が流れた。

 


いよいよヨシキ活躍編はクライマックスです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ