第6話ヨシキ活躍編2
俺は家に帰った。元々は、農民出身のため大臣の家? と言われてしまうぐらい質素な家に住んでいる。
「ヨシキようやく帰ってきたのか?」
俺が帰るとすでに一人の男が俺の家の中で俺のことを待っていた。その男は俺が帰ってきたことに気が付くと声をかけてきた。
「リキチャン? どうした何か情報でも手に入れた?」
こいつは、幼なじみのリキチャン。俺を含めた帝国の13人の大臣のひとりであり『情報大臣』の職に就いている。
「ああ。南部戦線は、敗北だそうだ。たった今こっちに連絡がきた」
「…………そうか」
「なんだよ。予想通りみたいな顔するなよ」
「ああ、まったくもって予想通りだ。この戦争で俺ら帝国は、必ず敗北する」
俺は戦争が始まる前からわかっていた。しかし、止めることが出来なかった。今でもあの時の自分がとても悔しい。
「そんな顔するなよ。酒でも飲もうぜ。少しは忘れて休めよ」
「ああ、分かったよ。しっかしうまいはずの酒も味がしないぜ」
「悩みすぎは毒だぞ。もう少し休んだほうがよいな」
「とにかく戦争を終わらせないと」
俺は休めと言われたが、この問題は今すぐに片付けないといけないものだ。だから気が付いたら戦争を終わらせないとと口に出していた。
「まったく休めと言ったのに……。まあいつものことか。確かにヨシキが言うとおりだ。しかし、どうするんだ?」
「……どうするか」
俺は、考えなんか一つも持っていなかった。とりあえずリキチャンの方に顔を向けた。
「はあ~。まったく何も考えなしかよ。とりあえずは皇帝を説得できるほどの力が必要だ。それが無ければ始まらない」
「その力はどうするんだ?」
ううん、力とはいってみたものの俺とリキチャンは考えたがいい案が浮かばずそのまま解散しようとしたその時。俺にはある考えが思い浮かんだ。
「ナオト皇子に頼もう。うん、それが一番だ」
俺は、先ほどナオト皇子がこの戦争に反対していてやめさせようとしていることを聞いた。だからこそ、俺たちの計画と合う。しかし、これがナオト皇子に言ったもう一つの考えだといったとしても成功度から考えてだめかもしれない。
「やっぱり、もう少し考えよう」
「ああ、だがなるべく早く結論を出さなければいけないからな」
こうして、もう一つの考えというものは一つも進むことなく俺とリキチャンは解散することにした。
「リキチャン気を付けて帰れよ」
「もちろん。そんな心配をする必要はないから。それじゃ」
こうしてリキチャンは自分の家に帰って行った。しかし、この時俺とリキチャンは気付いていなかった。戦争賛成派の貴族が俺達を監視するために家の近くで、騎士団員がこっそりと話を聞いていたことを。
一話一話短いですが、どうかよろしくお願いします。