第37話ダンロード編2
ファン帝国ダンロード
「……ここがダンロードか?」
「……あぁ、そのはずだが……」
「……村じゃないな」
「……私達ダンロードという村に来たはずだよね?」
俺、リューホ、ケント、ユーイチ、皇女様の順に話す。俺達は今ようやくダンロードに着いた。しかし、ここにきて問題が発生した。ダンロードは……ダンロードという村は存在しなかったんだ。ないといっても人がいない、建物がないという意味ではない。じゃあ村がないというのはどういうことだというと。さっき言ったことの逆であった。つまり、ここには村というより都市、いや大都市と言ってもいいものが存在していた。見た感じ人口は帝都には及ばないもののその半分である数十万人は軽くいるだろう。
「最後にここに来たのは3年前だったからなぁ。まさかわずか3年でここまで成長するとはびっくりしたなぁ」
リューホが暢気そうに感想を述べた。
「まぁ、3年もあれば人も世も変わるものさ」
ケントがリューホに対してまとめを言った。確かに3年もあれば変わるものだ。と言っても、俺達の生活はわずか1日で変わったけど。あの日皇女様が来なければ俺達の生活は変わらなかった。あの時はどうなるかと思ったが今では皇女様を心の底から守りたいと思っている。
俺が感傷に浸っているとうきうきしている皇女様が俺に対して言ってきた。
「ナヲユキ。こんなに広いなら泊まる場所の1つや2つ簡単に見つかるでしょ。手分けして探しましょう」
「そうですね。皇女様の言うとおりにしましょう。俺もここ数日のサファイアを出た後の野宿はさすがに飽きましたので気分展開をしたいですし」
俺は少し思い出す。サファイア村を出た後行き止まりに何回もぶち当たりその度に迂回した結果が迷子に迷子を重ねわずか3キロメートルの道のりを5日もかけてしまった。あれは本当に最悪だった。地図がなかったことをあの日もっとも後悔したのは俺だった。俺が地図を持って行けさえすればよかったものを、くそう。
さて、俺が思い出している間にも話は進んでいく。リューホ、ユーイチ共に反対意見がなかったので最後にケントが皇女様の話をまとめ始めた。
「じゃあナヲユキ、俺は北に行くから、ナヲユキは東へ、リューホは南へ、ユーイチは西へ、皇女様は俺について行ってもらいます。それでいいですか」
「それでいいよ」
皇女様の了承を得たので、俺達はそれぞれの連絡のやり取り(『電話』と呼ばれる便利な魔導器)を確認しそれぞれ四方に散り宿探しを始めることとなった。
俺は、東へと向かって歩き出した。