第18話城内乱闘編5
「さてと、とどめにしましょう」
ツッカーが剣先を俺に向けてきた。一方の俺は、先ほどの台風で体のあちこちが縛り付けられ体がいうことを聞かない状態だった。
「ナヲユキ! 大丈夫か!」
突然後ろから俺の名前が呼ばれたので振り向くと、そこにはケントがいた。
「……副団長。ヒッカーはどうしたんだ」
ケントが到着したことでツッカーは焦っていた。ツッカーはこのままだと2対1で戦うことになってしまうからな。
「ああ、殺してはいないが重傷だぞ。まあ、このあとお前もヒッカーと同じようになるけどな」
「どういうことですか?」
「ナヲユキ、いい加減そろそろ本気になったらどうだ。まあ、俺も人のことを言えたようなもんじゃないがな」
「……」
どうやらケントには俺が本気を出していないのをばれていたらしい。しょうがない、本気になるか。
「ハァァァァァとどめだぁぁぁぁ台風最終号っ!」
ドドド。バキバキ。ツッカーの周りの木々が倒れるほど、それどころかツッカーの周りのマドー城の豪華な大理石に似た素材で作られた地面までもが吹き飛ぶほどの風が吹き荒れてきた。これは今までで一番強力だ。格が違いすぎる。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
やばい、これは、もう終わったな。これはもう台風というレベルではない。まるで風の化け物だ。
「今さら気づいたか。これが俺の切り札でもある台風最終号によって生まれる、風の精霊シルフ。これを見たものは1人たりとも生きてはいない。これで死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
………。
「……氷蓮陣─守っ!」
自分の周りを囲むように厚い氷の結界を張った。こいつぐらいの技なら無効化にできる。現にツッカーの技である台風最終号の威力が無くなり俺は無傷であった。
「一度止めたぐらいで調子に乗るんじゃねぇぇぇ。まだだっー」
ツッカーは技を使うのをあきらめ真正面から剣を向けて突進してきた。たぶん、剣術で俺を倒す気なのだろう。しかし……。
「サウザンドブリザードっ!」
俺は突進してきたツッカーの地面付近から大量の氷の剣が発生させ……ツッカーを切り刻んだ。ツッカーは切り刻まれたことで全身から血が出て地面に倒れこんだ。
「くそぉぉぉぉぉぉ」
最後にツッカーは絶叫し気絶した。
「けっこう時間がかかってしまった。全く強かったぜ騎士団員ツッカー」
「お前が本気を出さないからだろ。いいからナヲユキ、早くしろよ。急ぐぞ」
「ああそうだな。急がないと……」
ユーイチ、皇女様無事でいてくれよ。俺はそれだけを願った。
俺とケントはマドー城を出て何でも屋に向かって走り出した。
次回はユーイチ視点となります。