第17話城内乱闘編4
ダッダダダ……長い長い階段を上り続けて目当ての7階に到着した。伝言室は階段のすぐそばにあったため簡単に見つかった。それだけは幸いだった。伝言室には多くの鳥が飼われていた。そして、部屋の真ん中には小さな椅子が一つだけあった。しかし、誰も座っていなかった。それどころか部屋には誰一人とていなかった。
「くっ無駄足だったか……」
とりあえずケントと合流した方が良いだろうと判断し戻ろうとしたところで運よくこっちに向かって走ってくるケントと再開した。
「ナヲユキ~」
「ケント……」
どうやらケントが俺を呼んでいるみたいなのでケントの方に行こうとしたら。なんと…………。
「これ一体どういう訳だ~」
ケントは大勢の騎士に追われていたのだった。ケントは必死に逃げていた。その光景はとてもシュールだった。
「えっ、ちょちょっとこっちに来るな~」
「「「待て~」」」
騎士が叫んでいる。待てと言われて待つか。そんなこと知ったことか。運よくそのまま城内を逃げ回りながらやっとのことで門の前まで着くとそこにはマドー城の門番ヒッカーがいた。
「ここから先に行けると思っているのですか?」
「その通りですよ」
後ろからも声が聞こえ振り返ってみると数人の騎士がいた。挟み撃ちされてしまった。ヤバい。こうなれば仕方ない。
「何が何でもいかせてもらう」
「右に同じく」
俺とケントは戦うことにした。お互い、魔導器に手を触れた。
「はぁ」
カンカキーン。
剣と剣がぶつかりあう音しか聞こえない。
「せいやー」
「その剣技甘いぜ」
カキン。ザクザク。一人の騎士の剣を避けるとまた別の騎士による攻撃が来る。
「くっクソが」
「お前らビビるな俺に皆続け~」
「「「おおぉぉぉぉぉぉぉ~」」」
一向に相手の騎士たちの士気は下がらない。
…………。これは、少し時間がかかるかもな。
一方のケント。
「まさかヒッカーと戦うとはな」
「ふん、ほざいてろ罪人。貴様は国家反逆罪の罪人何だぞ」
「国家反逆罪か。俺とお前のどっちの主張が正しいのか」
「……何を言っている?」
「ヒッカーにはわからないのか。残念だ。俺はな、お前には結構期待していたのだがな」
「ちっ。まだ何調子にのっているのだ~。お前はもう騎士団員ではない。上司の立場じゃないんだよ。灼熱の大地、干からびゆく水、生者無きこの世界に私は失望する絶望する燃え上がれ魔導器『メテオレッド』噴煙!」
「っ! 魔導器の解放か!?」
「ケント副団長も解放しないと死にますよ」
「……豊かな恵みの大地、死者は生まれることなく私は希望に溢れている水の魂よ魔導器『アトランティスの盾』解放!」
「ではいきますよ」
「いつでも」
「「はぁぁぁ~」」
一方のナヲユキ。
カキン。カキーン。剣と剣がぶつかる音が鳴り響く。
「はぁぁ!」
俺の目の前に剣を振り回す騎士が走ってくる。そして、そいつは剣を振り落す。しかし、俺は剣を避ける。
「まだまだ甘い!」
「なめるな」
「いや、なめてなんかいないさ」
「刀身に宿わりしこの魂、風の精霊シルフの聖なる力を吹かせろ魔導器『フェザーカッター』発生!」
ドーンという大きな音の発生と共に相手の剣の形が変わった。刀身の先端部分がふたつに分かれて、ところどころに突起物がついていた。
「一般騎士が魔導器の解放! お前なかなかだな。名はなんだ」
俺は敵ながら相手を称賛した。
「俺はツッカー。お前を殺す男だ。あの世でもよく覚えておけっ」
「そうか、残念だがそれは無理だな。ツッカーよ」
「……何が無理だ?」
「ツッカー、お前の魔導器の能力はさっきの解号と名称から風属性だろう?」
「……さすがじゃないですか。そうです俺の魔導器『フェザーカッター』の属性は風属性。さあ、それが分かったところで勝てますか?」
「ああ、勝てるさ」
自信満々で答えたことが不快に感じたかツッカーは少し顔色を濁した。
「凍てつく鼓動よ、我の呼び声に従い我を仇なす敵を永却に鎮めよ…魔導器『フロストヘイル』起動っ!」
俺は城内で2回目の解放をした。俺は、魔導器を開放したままにするのが好きではないので基本的に戦闘以外では解放状態にしていない。だから、戦闘のたびにわざわざ解号を言い開放する。
「なるほど。その剣で俺の剣を倒すつもりか」
ふふん。俺は不適な笑みをした。ツッカーはそれが気に食わなかったらしく眉がピクリと少しだけ動いた。
「俺の魔導器の属性は氷属性ですよ(ニヤッ)」
「こ、氷だと」
「ああ氷だ」
ツッカーは俺の発言に驚いていた。それもそのはずである。風属性は氷属性に弱いのだ。 魔導器は元々竜から人に伝わった魔術を内装して作られたものである。現在、魔導器は2種類ある。攻撃タイプと補助タイプだ。そして、攻撃タイプには6つの属性がある。
風。
土。
雷。
水。
炎。
氷。
これら6つの属性にはそれぞれ優越が存在し、風は土には強く、土は雷には強く、雷は水には強く、水は炎には強く、炎は氷には強く、そして氷は風には強い。
「ふん。それがなんだ。風だって氷に勝つんだ」
「いいぜ。来いよ」
カンカキーン。カンカン。ツッカーが真正面から突っ込んできた。剣を俺に向けてきたのでフロストヘイルで受け流す。
「ウィングカット」
「アブソリュートブレスっ!」
風の斬撃を氷の霧を作り、それでかわした。
「くそう、まだだっー。台風1号!」
「くっ、うぁ」
風が吹き荒れ、俺の動きが抑えられた。しかし、威力はそこまではない。これなら、どうにかなる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ」
俺は気合いでどうにか風を吹き飛ばしたが。しかし、そのあと………。
「1号から逃げ出したところで調子に乗るんじゃない。いくぜ台風2号っ!」
「また逃げてやる」
さっきと同じように風がまた吹き荒れてきた。また俺の動きが抑えられてきた。しかし、これぐらいまたどうにかなる………………なんだ? これは? 動けない。さっきよりも威力が上がっている? そんな馬鹿な。
「ハァハハハ。今さらきずいたのですか。いいでしょういいでしょう。教えてあげましょう。こいつは台風という技で号数が増えるほど威力が上がるのですよっ! ほらほらっ台風7号」
ドーンと風の音がした。ただ、俺は動きが封じられているため周りがよく見渡せなかった。
「ハァハハハ。台風10号、台風13号、台風15号、台風16号、台風17号、台風18号!」
ズドーン。ズズズドーン。さっきよりも威力が大きな台風を数連発も放ってきた。風が吹き荒れてきた。しかも……………。
「ぐわぁ~。うわぁ~。動けねぇ~。しかも、何だこの締めつけられるような風」
「どうです? 締め付けられて死ぬのは? では、さっさととどめといきましょう」
ツッカーは俺に対してとどめの技を放とうとしていた。万事休すか。
一方のケント。
「おいおい、どうした? 水は炎に対して強いはずなのにここまでやれちゃっているぞ。そんなものか? なぁケント副団長さんよぉ」
くそっ。舌打ちした。俺はヒッカーに追い詰められていた。魔導器の属性相性はいいが奴の技は厄介だ。
「ファイナルファイヤー」
ヒッカーがそう言うと、でっかい炎がまるで鳥のような姿をしている。さっきからこの技に苦しめられてきた。ともかく破壊力が尋常ではない。
「mermaidsong」
しかし、それに対して俺もまるで人魚の歌のような力を持つ水の音階を作り出して守った。ただ、この水のバリアはそこまで長くは持たない。
「また、守りか。何時になったらケント副団長は攻撃してくるんだ?」
「………いいか盾は基本守りの道具だぞ」
「そうか、何か隠しているだろうケント副団長。あんたほどの実力を持つものは常に奥までは見せないからな。いつもの演習で一体力のどれぐらいを見せたものか」
こいつ。やっぱりヒッカーは天才だ。俺が本気を出していないのを見抜いてくる。時期中等団員筆頭の座に推薦しようと思っていたがそれ以上だ。こうなればあれのうち何個か使うしかないのか。
「どうしました?」
「すまないが、本気になる。いいだろう。ヒッカーも望んでいたことでしな。いいか死ねなよ。」
俺は、ヒッカーに対して本気宣言をした。ヒッカーはそれに対して、やや表情が曇ったがすぐに元の表情に戻った。
「いいですよ。受けて立ちましょう。副団長の本気ともやってみたかったですから」
「いいんだな。いくぜ。変形せよポセイドンの槍!」
そう言うと、俺の魔導器である解放状態の盾は大事な者を守るための武器から大事な者を救うための槍に変化した。
「これは?」
ヒッカーはさすがにこの変化に驚いたらしく動揺を隠せていない。俺は、ヒッカーに向けて言葉を放った。
「さあ、ヒッカーいくぞっ! ここからが━━」
一拍おいて、
「本番だ!」
ついに戦闘シーンが書けた。これでバトルものだ。長かったなここまで。さあ、ここからが本番だ。
ということでこの物語もここから本番らしいです。実は、この物語は友達と一緒にRPGツクールでゲームを作るときに作った物語なんです。そのため、作品名が決めることができず友達とメールで『ギルドマガジン』と称し小説を投稿していた時に作品名はRPGとなんとまあてきとうなものでした。
なので、これが僕らの冒険譚なんかあとから無理矢理考えたもので、もっといい作品名にできたかもしれません。
では、これからもよろしくお願いします。