第16話城内乱闘編3
「相手の心を惑わし偽りの現実を見せつける相手の心を破壊し尽くし自らは偽りの勝利をし続ける、私の魔導器よ鳴れ『魔導器テレバスター』警鐘!」
グニャリ俺の世界は揺れた。
「止めて! 私はもうあんな、あんな城には帰りたくないんだよっ!」
「皇女様。もう無駄な抵抗はやめてください」
騎士の一人が皇女様を連れて行こうとしていた。しかし、その騎士の足を誰かの手が掴んだ。
「ま、待てよ。皇女様は絶対に連れて行かせはしない。ナヲユキ兄と約束したんだ」
しかし、彼はすぐに手を足から払いのけ足で手を踏みつけた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~。くっあきらめるか……」
それはユーイチだった。
「ハァァハハハ。私に逆らうとどうなるかわかったか。ただの凡人風情が逆らうとどうなるかをなっ!」
ユーイチを踏んでいたのはさっきまで戦っていたはずのコーキだった。
「俺は負けたのか?」
さっきまで戦っていたはずなのに何で俺は何でも屋にいるんだ? 何でコーキがいるんだ? 俺は一体どうなったんだ。そういえば、あいつ最後に魔導器を使った………そうかこれはあいつの能力か。
(お見事です。流石は元中等団員筆頭とでも言っておきましょう。そう、これは私の魔導器テレバスターの真の能力、相手の脳に直接影響を与え記憶を改ざんならびに未来を読み取らせる、それがこいつの力です。まぁしかし驚きですよ。ここまで見ていて精神が壊れなかった人はあなたが初めてですから。常人ならここまで見たら自分の未来に嘆き、騒ぎ、目を背けようとする。しかし、あなたはそれを見たうえで冷静に判断ができている。実にすばらしい。では、私はあなたの相手なんかつまらないので何でも屋という場所に行くとしましょう。あなたは殺さないでおきますよ。たとえあなたでもいつまでもこの映像に耐えることはできるはずはないだろうからな。あなたは精神が崩壊させられるという最高の人生の終わり方を迎えることができるのですからねぇ。ウハァハハハ。それではさようなら氷の剣士よ)
まっ待て。どうすればいいんだ。ここにいたらやがてはあいつの言うとおり心が本当に壊れてしまう。脱出の方法を考えないと。
「ナヲユキ兄ィィィ」
っ! ユーイチ。俺が見たのはユーイチが騎士に刀で心臓を刺された場面だった。
「ガッ。クゥソォ……」
バタン。ユーイチ? このままだとあいつは死んでしまうのか?いや、俺は認めない。
「ユーイチ、ユーイチ、ユーイチィィィ」
……………。皇女様のユーイチを呼ぶ声だけが聞こえた。ユーイチが殺される。早くここから出ないとユーイチが危ない。こうなったらやりたくなかったが魔導器を解放しないといけないのか。
しょうがないがいくしかない。
凍てつく鼓動よ、我の呼び声に従い我を仇なす敵を永却に鎮めよ……魔導器『フロストヘイル』起動っ!
俺は自分が持っていた剣型の魔導器を解放した。そして、剣に集中して一つの技を放った。
サウザンドブリザード
この技はフロストヘイルの中でも最強といってもいい技である。
俺の周りの地面から無数の氷の剣が発生してその直後コーキによって創られたセカイが不安定となりこわれた。周りは元いたマドー城の内部である。
もし、あなたがナヲユキだったら親しい人が死ぬと知ってどうしますか?
ちなみに私は、泣き叫ぶだけでクールな選択などできないと思います。