第14話城内乱闘編1
「ようやくマドー城に着いたぜ」
あれからかれこれ10分が経った。
俺とケントはマドー城の正門前にようやくたどり着いた。
先ほどケントと打ち合わせした通りに、元騎士団の一員として副団長であるケントから頼まれて皇女様を探すことになったという設定に合わせて行動しないといけない。そんなことを考えていると門の中から門番が出てきた。
「ケント副団長様お疲れ様です。そちらの方はどなたですか?」
「安心しろ、ヒッカー。こいつは危険な奴ではない。俺の幼なじみだ。そして、もう辞めてしまっているが俺と同期であった騎士団の元団員だ」
「そういうことです。門番さん」
ニコッと笑って俺は門番、名前はヒッカーと呼ばれる男に疑われないように城に入ることになった。ヒッカーは少し怪しがって俺の様子を見ていたがケントの言葉を信じたらしくすんなり門の中へ入れてくれた。
門からだいぶ離れたところである城の玄関まで歩いた。周りには俺とケント以外誰もいない。なので目的についてケントと話すことにした。
「俺はここからどこへ行けばいいのかわからないが。どうすればいいんだ?」
「ナヲユキはどこに行けばよいのか本当に分からないのか?」
「分かるか! いいかケント、このマドー城はどんだけ広いと思っているんだよ! 少なくとも俺はだな、騎士団時代に毎日通っていたこともあるというのに道をまったく覚えることができずに毎日迷子になったような奴だぞ」
ケントに分からないのかと聞かれて俺は怒った。実際このマドー城はデカすぎる。ケントは俺の表情と言動から少しは察してくれたらしく、やれやれと言ってから答えてくれた。
「分かったよ。確かにマドー城は広いからな。だから怒るな。ナヲユキはマドー城の7階にある伝言室に行ってくれ。そこに行けばリューホは鳥の世話をしているはずだ」
「分かった。そういうケントはこの後どうするんだ?」
「俺は皇女様の荷物でも準備しておく。荷物を持って来いというのが皇女様の命令だしな。あとは…………………大臣に辞表でも提出しようかな」
辞表っ! だと。俺があまりにも驚いてケントに言った。
「いや、さすがに辞表まで出さなくてもいいだろう。まあ、反逆罪だけど。いやでも、辞表はやっぱり出さなくてもいいだろう」
「いや、軽いジョーダンだ。出すわけないだろ」
俺があまりにも驚いて真顔で話したのが面白かったのかケントが笑いながら言った。その言葉に一瞬唖然したが俺は普通に応えた。
「なんだビックリさせるなよ。じゃあ俺は行くぜ」
そう言って城内に向かって走りだそうとしたらケントに呼び止められた。
「待て、ナヲユキ。一応これを渡しておく」
そう言われてケントから渡された物のは、一枚のカードと一枚の手紙だった。
「それは、騎士団関係者に与えられるカードだ。黄色だからゲストカードだ。ナヲユキが騎士団を辞めた後にできた制度だから知らないだろう。このカードがあることによって他の騎士団員から怪しまれることはおそらくはなくなるだろう」
「ああ、知らないな。こんな便利な制度」
「後、その手紙はリューホに直接渡してくれ」
俺はそう言われて手紙の内容を確認した。手紙には、端から端まできれいな文字でびっしり詰まっていた。おそらくはケントの直筆だろう。
リューホへ
君に頼みたいことがある。元騎士団のナヲユキが君にこの手紙を渡した時に聞いたと思うが改めて伝えたいと思う。君に頼みたいのは次の二つのことだ。
まず一つ目は君の力を借りたい。俺達は皇女様の帝国からの逃走補助ならびにこの世界のどこかにいる皇女様の兄ナオト様を探すために旅にでる。しかし、何らかの理由で情報が漏れてしまい皇女様がねらわれるかもしれない。そうしたら俺達だけでは対応できない場面があるかもしれない。そのようなときに君の元兵士としての力が必要となる。かつて、魔術大戦の時に見せた君の強さは今も顕在していると俺は信じている。だがもちろん君がもう二度と戦いたくないことは知っている。でも、俺は君にぜひとも協力して欲しい。
それともう一つは、武器の扱い方についてだ。
俺達より君の方が武器の扱いに慣れているだろう。そうした君の知識が必要なんだ。
いい答えを期待しているよ。
第101代ファン帝国騎士団副団長ケント
とりあえず全部読み終えた後ケントに感想を述べた。
「…………俺はこの手紙を渡すだけでいいのだな」
こんなにも立派に書かれたものを見せられると渡すだけで終わりっていう感じになってしまうよ。
「いや、ナヲユキの口からもしっかり言って欲しい」
「…………そうですか」
何ですか。このようにちゃんと趣旨まで書かれた副団長直筆の手紙を渡したうえで俺の口から説明しろだと。何の嫌味なんだ。そのようなことを考えていると、ケントは俺の気持ちを察したのか言ってきた。
「何だよ。その嫌そうな顔は?」
「だってよ、俺の言うことしっかり手紙に書いてあるのだから意味ないじゃんか」
「そんなこと無いぞ。リューホには直接口で伝えた方が説得に応じて旅に付いてきてくれるはずだ」
「そうか。ならいいけど………………」
俺は少し納得したが嫌な予感しかしなかった。ていうか、納得したけどやっぱりこれ嫌味だよね。




