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青春リテラシー。  作者: シュレディンガーの羊
14/15

13:迷探偵、出没注意




「なぁ、相澤」

「なんだよ、倉上」

「つくづく俺はヒーローに相応しくないか」

「……どこの世界にお前みたいなヒーローが必要なんだよ」




「推理小説なら、俺はきっと名探偵役だろうな」


倉上がまた懲りずにそんなことを言った。


「お前のその意味もない自信、いったいどこから湧くんだ、俺は謎すぎる」

「根拠はあるぞ?」

「ほぅ? 聞かせて貰おうじゃねぇか」

「得てして、相澤、お前のような奴は探偵の助手タイプだ」

「だから、お前は探偵タイプなわけか」

「もちろんだ」


そこで胸を張るな。

というかそこで自慢げにするな。

お前がすごいんじゃねぇよ。

すごいのはホームズとかだよ。

呆れつつも先を促す。


「で、助手タイプって具体的には?」

「推理小説ではたいていの場合、助手とは語り手だ。彼らは読者が感情移入しやすい凡人キャラなことが多い」

「……なんか地味に嫌なこと言ってるな」

「いや、これは大切な箇所だ。語り手がホームズだったらどうだ? 謎解きなんてしないで頭の中で終了だ。あと天才の心理を描写するのは大変な苦労であるし、よって感情移入も難しいだろう」

「確かに尤もな気もしないではなくない」

「探偵タイプとはつまり、天才であり奇人であり、主人公、語り手ではないが憧れの象徴であるヒーローのようなものだ」


なんか納得したくないものがある。

つまり、倉上が探偵タイプなら憧れの象徴でヒーローなのか。

うん。なんか素直に認めたくない。


「あと語り手は振り回され役も多いな」

「振り回され役……」

「そうだ。常識的な語り手が、非常識だが特殊能力などを持つヒーローなどによって問題に巻き込まれたりするあれだ」

「……なんか親近感湧く」


誰かさん、実は自覚あるんじゃね?

客観的な見解あるんじゃね?

確かにこうしてみると俺は助手タイプだ。

そして、倉上はまごうことない探偵タイプだ。

別に特殊能力とかないけど。


「確かにお前は探偵タイプだな」

「そうだろう。だから探偵がしたい」

「犯人役とかいないだろ。諦めろ」

「そこで諦めてどうする、相澤。犯人なんて作ればいいだろうが」


……前言撤回。

倉上は探偵にも、ヒーローにも向いていないと思う。

むしろ、敵役が似合うと思う。

ラスボスの側近とかで嫌な戦い方する感じの要員として。

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