表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

#2 Pilot2

緊急帰国を決めたのはホノルルで耳にした酔っぱらいの言葉が発端だった。

3年前の2008年4月に日本を発ちそれからぐるっと西に世界一周の武者修行を続けてきた。

そしてついに3年かけてハワイまでやって来た。ハワイには2週間滞在の予定だった。

もちろん観光などではなく、2週間みっちり修行するのだ。そして、まだ見ぬ強敵を探しだし、お手合わせ願う。

そんな予定が一泊二日に急変したのは滞在初日夜のホテルでの出来事が原因だ。

その日の朝、久我はホノルルに上陸すると空港近くの免税店で買ったアロハに着替え、早速ストリートファイトが楽しめる場所を探した。

ビーチをほっつき歩いていると、久我は人だかりを見つける。聞けば、自由参加のグラップリングファイト、つまり打撃不可のストリートファイトをやっているという。

久我は早速闘わせてくれとエントリーした。そして、一番強そうな奴が相手がいい、と係の男に注文した。


続いて彼に、賞金はいくらだ、と訊く。こいつはお遊びだから金は出ない、その代わり勝てばビールをたらふく呑ませてやる、と返答が来た。

久我は男に参加費の5ドルを渡すと、自分の出番まで試合の様子を眺めていた。

確かにお遊びで、あまり腕に覚えのある者はいないようだった。まあ、初日だしこんなものかと思っていたら、一人の男が人だかりにやって来て、係に5ドルを支払っている。

久我は、この多少は楽しませてくれそうなこの男が自分同様に、強い奴と闘いたい、と言っているのが聞こえた。

久我は、彼に分かるように手を挙げて見せた。男の視線が久我に移る。

体育座りで試合を観戦していた久我は立ち上がり、ズボンの砂を払うと男に言った。

「俺が相手になろう」

周辺が、急にざわつく。久我が名乗りを挙げたからではない。その男が、どうやらここのグラップリングファイトでは最強の男だからだったようだ。

周りから、おい日本人悪いこと言わねえからやめとけ、だの、ブラックは今日もビールにありつけるぞ、だのと聞こえてくる。

久我は気にせず、ブラックという名前らしいその男に対して、もう一度言った。

「俺が、相手になろう」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ