表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

#1 Pilot

こちらではお初です。宇内井蛙うだい せいあと申します。文章はヘタックソですが心にガツンと来る作品を作っていきたいと思います。応援お願いします。

忘れない。

黒く淀んだ空。降りしきる雨。固唾を飲み見届ける人々。この風景だけは忘れることはない。

何度も夢の中で再現されるあの空間。それは、久我長達くが ながたつとランカー・オズワルドが出遭い、そして闘った場所。彼らは遭遇した瞬間に、互いが互いを認識した。目の前にいるあの男こそが己の終生の敵−。

2009年冬。ロンドン、トラファルガー広場。

この日、久我はランカーに生涯初の敗北を贈呈された。夢はいつも、一進一退の攻防を繰り広げたのちの、ランカーが久我を圧倒しはじめたところから始まる。打たれ、極められそうになるのを振り切り、また打たれ、極められる。

完全に久我の腕を捉えたはずだったが、久我は死力で逃れる。

その直後、ランカーの右こぶしが久我の顎を綺麗に打ち抜いた。膝を、落とす。

攻撃が来ない。久我は顔を上げると、ランカーは厳しい表情で仁王立ち。

「久我…」語り掛ける。

「お前は、お前でさえ」表情に哀しみが滲みだす。

「…ここまでなのか」

そんな顔するなよ。久我はそう言おうとするが、呼吸が追い付かず、言葉を発するどころではなかった。

ランカーは、構える。久我にとどめを与えるために。

「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!」

ランカーの渾身の一振りが久我を襲う。その瞬間、体中の細胞が最後の力を絞りだし、久我を奮い立たせた。そして−。

「ランカアアアアアアアァァァァァァァ…」




「ァァァァァァァアアアア…、あああ?」

久我は周りを見渡す。他の乗客のきょとんした目が集中する。

なんてこった、今日の夢はとうとう最後の絶叫が声に出てしまっていたか!

ほどなくしてキャビン・アテンダントが久我の元にやって来て、久我は彼女に平謝りする。すいません、寝言なんです、本当ですってばっ!


そして、機内は普段の空気に戻る。久我は息を吐き、手元のコーヒーに手を伸ばす。

記念すべき二十回目のランカー戦の夢は、よりによってホノルル発成田行の上空で、絶叫付きで再生された。

実際の闘いはあの最後の抵抗も虚しく、右ストレートで決着した。あれから約二年、久我はストリートファイトやら総合格闘技大会の飛び入り参加などで無傷の連勝を重ねた。勝ち続けなくてはいけない。あの男に再び勝負を挑むまでは…!

俺を負かすことができるのはランカーだけだ!そして、ランカーでさえ二度目の勝ちは無い!

「完全なる格闘家」となったこの久我長達こそが次こそ勝利を収めるのだ…!

久我は有益な情報を手にしていた。今年、2011年の夏、全格闘団体、全プロアマ格闘技の垣根を越えた究極のトーナメントが開かれる。

その名も「F.O.B. Fest of Battles」。闘いの祭典と銘打たれたこの大会には本来ではありえない各分野の超大物たちの出場が続々と内定しているという。

その中にいたのだ。今や世界が認める「最強に一番近い男」。ランカー・オズワルドが!

久我にとってプロの公式試合に一切出ていないことが仇になった。まずはF.O.B.出場への切符をどうにかして手に入れなくてはならない。

そのために、久我は3年ぶりのふるさととなる日本へと向う…。

「プロアマ」と打とうとしたら「プロ海女」と変換されたよ。すげー強そうな海女さんを想像。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ