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8話

本日二回目の投稿です。まだ呼んでいらっしゃらない方は先に前話を御覧ください。

「ひーふーみーよ、、、、、ふへへ、あのオッサンいっぱい持ってんじゃん!」


薄汚れたマントのフードを取った少女はそのまだ幼さの残る顔をニヤつかせ、先程市場で盗んだ財布の中身を数えていた。


その少女の名前はチカ。


腰のあたりから膨らんだマントからはモコモコとした筆のような形をした尻尾を覗かせている。


俗に言うたぬきの尻尾、というやつだ。


財布をしっかりと閉まったチカはその尻尾を財布同様にしっかりとマントで覆い隠しつつ、路地裏からもっと進む。


ドヤ街の中でも特に奥まった場所にあり、尚且つその中でも特にみすぼらしい家へとずかずかと入ると声を張り上げた。


「おーいみんなー!今日のシューニューだぞ!!これでメシが買えるぜ!!」


その声に部屋の奥から複数人の子どもたちが現れた。


どの子も顔に喜びを(にじ)ませ皆口々に「おかえりチカ姉ぇ!」「怪我してない?」などとチカを労る言葉を掛け、それにチカもハグで応える。


「ほら見てみろ!こんだけあれば今日はみんなでパンと肉も買って食べれそうじゃねぇか?!」


「わぁ~!いっぱいはいってる!!!」


「今日はお腹いっぱい食べれるかな?」


そんな風に喜ぶ子どもたちを見るとチカも嬉しさや達成感を深く感じる。


最近は春来祭があるのもあり警衛たちの巡回が増えたので禄に働く、否盗む事ができていなかったのだ。


蓄えていた食事も自分の分もできる限り子どもたちに渡してはいるが元の量が少ないが故に腹が満たされることはなく、空腹でぐずってしまう子も多かった。


それにこの祭りを目当てに来る国外からの観光客も多く、その分少しだけではあるが商品の値段が上がっていたりもする。その少しですら(ろく)に収入がない状態では痛手だ。


だからこそ今回のこの収入は皆待ち望んでいたものなのだ。


「じゃ、今から買ってくるからいい子で待ってろよ?」


「うん!」「気をつけてね!」「つかまんなよー!」


そうやって心配の言葉を掛けてくれる子どもたちにニッとチカは笑う。


「だいじょーぶだって!アタシの幻覚魔法があれば捕まんねぇよ!」


チカはそう言ってマントを被り全身を隠すと、早く食料を買って帰って皆を喜ばせたいという気持ちで逸る心臓を抑えながらまた街の方へと飛び出した。


◆◇◆


リンは先程の人物が消えた路地裏へと足を運んでいた。


元々あまり外に出る機会も無く、来るタイミングなど今までなかったドヤ街という不慣れな道で遂にリンは迷子になってしまった。


迷子には二つのタイプがあるらしい。


自分の進む道に自信があるが故にドツボにはまり迷い続けてしまうタイプと自分の進む道に自信が無いがゆえに迷子になってしまうタイプである。


討伐組合でのことを思い出してみるとよく分かるがリンは圧倒的後者であった。


それはそれとしてドヤ街が入り組んで迷い込みやすい場所であるのは間違いないのだが。


元々ドヤ街とは日雇い労働者向けの簡易宿泊所(ドヤ)が集中している街のことを指す言葉なのだが、この国でのドヤ街とはギリギリスラムとは呼べないが王都でのきらびやかな街とは隔絶(かくぜつ)した場所のことを指している。


夢を持って王都に来たはいいが何も成せなかった者や何かしらの理由で捨てられた孤児達の集まる街をリンは彷徨い歩いていた。


舗装(ほそう)のされていない道を歩いているともっと入り組んだ道の奥からパタパタと走る足音がリンの耳に入る。


丁度リンは一度ドヤ街から出るのもアリかと考えていたところで、外までの道を聞くいいタイミングだとその足音のする方向までリンも歩みを進め始めたところだった。


リンの目の前に先程のマントの人物が現れたのは。


正確に言うと薄暗い道の奥から現れたのが先程のマントの人物だったのだ。


「さっ、、きの!ちょっと待ってッ!」


マントの人物もリンを認識すると同時にもと来た道へと踵を返し走り出す。


(くそっ、思ってたよりも足が速い!てか道が分かんねぇから追いつけない!)


道が悪いのもありリンはどんどんとマントの人物から距離を離されていく。


このドヤ街は自分の庭だと言わんばかりに駆け抜け曲がりくねった道を走り込んでいくマントの人物の姿を何度も見失いそうになる。


(あんまり対人で使いたくはないけど、このまま追いつけないのも困る、、)


リンは目の前の人物を追いかけつつ、じわりと体の特に足に魔力を集中させる。


「月光・韋駄天ッー!」


一気に加速しバネのように体を跳ねさせマントの人物の目の前に降り立つ。


あまりの加速と浮遊感に若干の恐怖と吐き気を覚えながらリンは口を開いた。


「ウェ、お、お話、ゲホッしません、、、か?」


「な、なんだお前。キモっ、、、」


リンが見たフードの中では可愛らしい顔をした少女が気色の悪いもの(例えば某黒光りする虫)を見たとでも言わんばかりに顔を歪めていた。

私の準備不足でそろそろストックが無くなりそうでもしかしたら週2~3回程度の更新になるかもしれません。申し訳ない限りです。

投稿時間に関しまして、現在は2話投稿の日は0:00と18:00に、1話投稿の日は0:00に投稿しておりますが、この時間帯だと読みやすいなどのご提案がありましたらお伝え下さい。変更させていただきます。


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