6話 ジェット・ストリーム・アタック!
ぼくとトヲル君が歩いていると……
いきなり、女の子3人組が現れる。
「あの子たち、手をつないで歩いている」
一人は和風な娘。腰まである長くて黒い髪。細剣に、胸当てという装備。
「なーんか、男どうしでキモい……普通、手なんてつなぐかな??」
一人はショートカットで活発そうな娘。鎧に、盾、剣と戦士の出で立ちだ。
「何、言ってるの……お互いはぐれないように手をつないでいるだけよ」
一人は背の高い娘。メガネかけてる。上半身のボリュームがパパのようだ。マントに杖……魔法使いかな??
おもいっきり、会話が聞こえてくる。
ここオルタナティブ・ワールドでトヲル君以外の人に出会ったのは初めてだ。
そこで、いきなりディスられた……。
しかも、かわいい女の子たちである。
ぼくは少し腹が立った。
ところが、トヲル君はどこ吹く風のように、爽やかに歩き続ける。
「おいおい、無視かよ……かわいいお姉さんたちが声かけてあげているのにさ」
ショートカットの女の子が声を話す……。
ぼくは普段女の子たちと会話しないから、どうしていいかわからない……。
カヲル君は至って冷静だ……沈黙を続けて見守っている。
3対2か……これは、不利だ。
でも、相手は女の子たちだ……やってやれないことはない。ぼくらは男なんだし、今はカヲル君もいるし……。
もうこうなったら、戦ってやる……いつでも、来いってんだ。剣は無くても、やってやる。
「もう、待てねぇ。まとめて、やっつけてやるぜ! 」
また、ショートカットの女の子。
か、彼女たち、本気だ……一気にダッシュで距離を縮めてきた。
オイオイオイオイオイ……ジェット・ストリーム・アタックかよっ!……って現代の子は知らないか。
……。
この後、まったく想定していなかったことが起こった。
なんと、彼女たちはトヲル君を囲み、ベタベタ触りだしたのだ!
「この子、綺麗……顔が整っているしー……しかも、女の子みたい」
「手もスベスベでやわらかーい……気持ちいいなー」
「髪もサラサラだよー……んー、いい匂い」
えっ……戦闘になるんじゃなかったの??……その剣や杖は何のために持ってるの??
ってゆーか、なんでトヲル君ばかり、チヤホヤされる???
ぼ、ぼくには何もないの?……な、なんで?……どうして??
……。
ぼくは目の前に広がる光景に、イライラし初めていた。このシチュエーションはなんなんだ。ぼくはどうすればいいんだ。
ぼくは途方に暮れてしまった。
<登場人物>
・岡本結太:主人公、男性、15歳、中学3年生、身長170cm、普通の体型、坊主頭の野球少年
・桐生徹:男性、ユウタの旅のパートナー
・女の子3人組:オルタナティブ・ワールドの住人。謎。
<参考文献>
・良き人生について ウィリアム・B・アーヴァイン