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下町とニア  作者: oga
4/25

R

 河原の方へと走る二ア。

まさか、橋の下で暮らしてるとか?

全裸で?

すると、クルリと向きを変えて、言った。


「……やっぱ、やめた。 今日はお前んちに泊まる」

 

「は、無理無理」


 突然のニアの提案を即座に却下する。

牛丼を奢ったせいで懐かれたか?


「せめーし、無理だって」


「オヤジもお前んちがいいってサ」


 ニャーン、と小脇に抱えていた猫が鳴く。

猫がオヤジとか、最初に見た奴を親と思い込む鳥と一緒じゃねーか。


「なあ、頼むよぉ」


「……」


 少し罪悪感を覚えたが、俺はそのままアパートへと向かった。









 アパートに到着。

階段を上がって自室の前に来ると、鍵を取り出す。


「なあ、頼むよぉ」


「結局着いて来てんじゃねーかっ!」


 ニアは、なあ頼むよぉと呪文の様に繰り返しながら、俺のアパートまでやって来た。

中へと入ろうとすると、手で制す。


「な、何だよ」


「猫は入れんな」


 部屋を借りる前に大家から忠告されてる。


「猫がついてくんなら、橋の下に戻れ」


「……ちぇっ、分かったよ」


 猫を床に下ろすと、やっと解放されたと言わんばかりに、どこかへと走り去って行った。


(……全然懐かれてねぇ)


 唖然としつつ、俺は靴を脱いで、棚から服を見繕った。


「ほら、着ろよ」


「いらねーよ」


「ざっけんな、着ろっ」


 逃げるニアを追いかけ回していると、ドン! と壁を殴る音がする。

しん、と静まり返る室内。


「隣にはヤクザが住んでんだ、気を付けねーと殺されっぞ」


「や、ヤクザ……」


 まあ、嘘だけどな。

隣に住んでんのはフツーのおっさんだが、揉め事は避けたい。

それから、ニアとの同居生活が始まった。









 一週間が経過した。

俺はあれから全く就活せず、家に引きこもっていた。


「ニア、コンビニで適当に何か買ってこいよ」


 夕飯をニアに任せて、俺はスマホをいじる。


「またコンビニか」


 ふざけんな。

飯奢ってもらってる居候が贅沢言うなっつの。

立ち上がって、財布を手に取る。

俺は、凍り付いた。

……札がねぇ。 

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