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下町とニア  作者: oga
24/25

別れ

「かなりあるよな……」


 天井は真っ暗で、夜の海みたく、飲み込まれそうだ。

すると、二アが言った。


「おにい、ここでお別れだな」


「……は?」


 二アのヤツ、何言ってやがる。


「どういう意味だよ?」


「おにいはこのまま天井を伝って外に出るんだ。 そんで、そっからゲートを潜って地上に戻ってくれ」


「ざけんなっ」


 俺は思わず二アの胸ぐらを掴んだ。


「俺だけ逃がして、お前はどーすんだよ!?」


「俺は、メインコアと一緒に自爆する」


 自爆だって……

させねーぞ!

自爆って、死ぬってことだろ。

いくら人類を助けるっつったって、自分の命捨ててまでやることじゃねー。

それに、


「お前がいねーと、ダメなんだよ。 俺は、お前がいなかったらとっくに……」


 仕事で人間嫌いになって、社会で生きてく自信を失ってた。

そんな時、コイツが現れて……

もしコイツがいなかったら、首括ってこの世にいなかったかも知れない。

俺は涙目で必死に訴えた。


「いくんじゃねーよ、行かないでくれ……」


「……おにい、行かせてくれよ」


 ニアは語り始めた。


「俺、ずっと奴隷として生きていかなきゃならないんだ。 疲れたんだよ。 でも、最後にすげー良くして貰えて、嬉しかった。 だから、ここの人らの為に、命使いたいんだ」


「……」


 ニアの話を聞いて、俺は思った。

ちゃらんぽらんなヤツだと思ってたけど、本当は今まで大変だったんだな。

多分、コイツはこのまま一生、いや、永遠に奴隷として生きていかなきゃならないのかも知れない。

だったら、ここで終わりにした方が、コイツの為かもだ。


「……お疲れ、二ア」


「ありがとな、おにい」


 そう言って、ニアはエネルギーを供給する枝を伝っていった。

既に下のサーバー室ではガスを放出し終え、ペンギンが集まってきている。


(警備が薄かったのは、この中に誘い出して殺す為か)


 俺は、音を立てないよう慎重に天裏を移動した。  



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