サーバー室
サーバー室の守りは思ったより手薄だった。
「あれだ」
並んでいる四角い盤の間を縫って、とある盤の前へとやって来ると、扉を開いて中にしまわれていたパソコンを開く。
電源を入れ、マウスを操作しながら、二アが言う。
「これだ。 このマップにメインコアへと繋がるルートが知るされてんだ」
メインコア。
これが宇宙船の動力源で、他にも灯りだったり、自動ドアを動かすのにもこのエネルギーが使われてるらしい。
地球で言うところの電気みたいなもんか。
「メインコアなんて狙われたらやべーだろ。 簡単には行けないんじゃねーの?」
「いや、メンテナンスも必要だから、意外と簡単にアクセスできると思う」
二アがメインコアの場所を調べていると、いきなり室内に轟音が鳴り響いた。
ドン、という鼓膜を震わす音で、白い煙りが立ちこめる。
「……な、何だ!?」
「しまった!」
二アは俺を抱きかかえると、その場からジャンプ。
天井ボードを貫いて、天裏スペースに飛び出した。
「何だよ、メインコアの場所調べんじゃねーのかよ!」
「今のは二酸化炭素。 火災時に炎を消す役割を持つんだけど、人間が吸ったらソッコーお陀仏だ」
二酸化炭素……
誰かが廊下のスイッチを制御したのか?
誰かっつか、ペンギンしかいねーだろうけど。
「どーすんだよ」
今の短時間でメインコアへのルートを調べられたとは思えない。
二アは、天裏のスペースをきょろきょろ見渡すと、こう言った。
「……いや、何とかなるかも。 このエネルギーを供給する枝を追えば、たどり着けると思う」
枝。
そうか。
この部屋に供給されてる電線(枝)も、元を辿ればメインコアに繋がってるって訳だ。
だが、問題が一つある。
その枝は、果てしなく長く上へと続いていた。




