脇役
「ざけんなっ、侵入者はお前だろがっ」
「……へ?」
ペンギンの軍勢が二ア目がけて銃を構える。
ダメじゃねぇか!
侵入者が二アだっての、バレてるし。
「剣を置けっ」
「……」
まさに、絶対絶命だ。
どうする?
どうすりゃいい!?
だが、この状況で自由に動けるのは俺しかいない。
戦っても恐らく勝ち目はない。
もう、一つしか方法は思いつかなかった。
俺は、意を決して、通路へと出た。
「ベーコン、頼むっ」
そう吠えると、俺は膝をついて全力の土下座をして見せた。
額を思い切り地面に打ち付けたせいで、血が滴る。
「ベーコン、力を貸してくれっ」
「……」
ダメか?
確かに、こんな状況になってから助けを請うのは虫が良すぎる。
俺がベーコンなら、ざまあって思うだろう。
しかし、予想外のことが起こる。
「……顔を上げろ。 主人公がみっともねぇぞ」
二アをかわして、ペンギンの前に躍り出るベーコン。
「最後の最後で、こんなかっけぇ役が回ってくるたぁな。 脇役も悪くねぇぜ!」
そう言うと、ベーコンはペンギンの群れへと飛び込んだ。
ベーコンのお陰で、どうにか俺らは難を逃れた。
そして、今、南サイドから10階へと階段を上り、ぐるっと回って北サイドのサーバー室へと向かっている。
「ここだ!」
サーバー室へと辿り着くと、剣を振り下ろして扉を破った。




