遭遇
(こんなヤツに構ってる場合じゃねーだろ……)
再生回数がどーのとか、どうでもいいわ。
こんな個性の無い新キャラを今更加入させた所で、持て余すだけだ。
そう思った俺は、2人の間に割っていった。
「あのぉ…… ベーコンさん、でしたっけ。 先にシャワー浴びてきた方が良くないすかね」
何を吹き込まれたのか、男は興奮気味に言った。
「俺、ずっとこんな日を夢見てたんだと思うんだ。 ユーチューバーになったのも、本当はヒーローとかに憧れてたからなんだよ。 俺ら3人で、地球、救おうぜ!」
そう言い残すと、男は走り去った。
「おうっ、早く戻って……」
言い終わる前に、俺は二アの手を引いて走った。
「おら、モタモタすんな!」
「えっ、ベーコンは?」
「あんな奴、ほっとけ!」
つか、一体どこに宇宙船は不時着するつもりなんだ?
相手が何も考えずに降り立った場合、その箇所は大変なことになる気がすんだが……
だったら、不時着する場所を特定して、人を逃がさねーとだ。
とりあえず、駅前に向かって走る。
途中、二アに質問した。
「二ア、宇宙船が不時着する場所の目星ねーのかよ」
「ちょっと、ストップ!」
慌てて二アがブレーキをかける。
次の角を曲がれば駅前だが、その隅の壁からゆっくりそちらを覗き込む。
「……もう、来てる」
「来てるって、どういうことだよ?」
俺も二アに習って駅前の方を覗く。
すると、ペンギンみたいなかぶり物をした、数人がビラを配っているのを見つけた。
そして、その傍らに、ギラギラと発光する鳥居みたいなものを発見。
(駅前にあんなやつらいたか?)
「あいつらが俺の主だよ。 あいつらにずっとこき使われてたんだ」
「あいつらが…… 見てくれはペンギンのかぶり物した人間だよな。 つーことは、もう宇宙船は不時着してんのか?」
「いや、多分、あのゲートから空に浮かんでる宇宙船につなかってんだ」
そういうことか。
それなら、地上を破壊しないで済む。
アイツらの目的は、単純に地球人相手に商売することなのか?
「なんだよ、心配して損したぜ」
俺が、角から出ようとした瞬間、待った! と二アが強く腕を引いた。
「そのまま出てったらマズい!」




