ミッション
「……マジ?」
今のが3Dグラフィックの映像じゃなければ、本物の宇宙船?
「……お前の話が事実だったとして、明日地球は宇宙人に乗っ取られるのか?」
「んー、分かんないけど」
同じ宇宙人同士なのに分かんねーのかよ。
つか、さっきも言った通り、今更ジタバタしても俺にはどうすることも出来ない。
国がこのことを察知してて、何らかの対策をしてくれてればいいけど……
「まあ、いいわ。 とりあえずお前の話は信じる。 じゃ、家に戻っか」
「ちょちょちょい! それだけ!?」
二アは俺の冷静な態度に、逆に驚く。
「こんな主人公始めてみたよ…… 呆れたよ!」
「だって、どうしようもなくね?」
宇宙人が侵攻して来るとして、俺に出来ることと言えば、たこ焼きを焼いてもてなすことくらいだ。
大概、友好的な宇宙人なんていないだろうし、目的なんて侵略以外に無いだろう。
すると、二アは真剣な顔つきで、こう訴えてきた。
「俺、今から来る宇宙人の奴隷だったんだ。 アンダー7っていう、最下層の奴隷だ。 ヤツらが来たら、捕まってまた奴隷をやる羽目になる」
二アは、その宇宙船の雑用係をやらされていたらしい。
ある日、厨房で皿洗いをしていたが、たまたま宇宙船のデッキでサボっているとこを見つかる。
「二ア、てめぇっ!」
「やっべ……」
大目玉を食らった後、広報に回されたとのことだ。
そして、操作の仕方の分からない宇宙船に無理矢理乗せられ、地球に降り立った(墜落?)らしい。
「酷い話だろ?」
半分、こいつが悪い気もするけど……
いや、全部か?
「とにかく、俺は捕まりたくない。 だから、協力してくれっ!」
二アは、どこで覚えたのか、地面に頭をこすりつけ、ジャパニーズ・土下座を披露。
(決まった!)
「……いやいや、それ全然格好よくねーし」
まだ何の承諾もしてないのに、二アは勝手に起き上がり、自分の考えた作戦を説明し始めた。
「今から来る宇宙船は、巨大なショッピングセンターみたくなってる。 だから、一般の客を装ってバックヤードに潜入、そこからサーバールームに入って、コンピュータをハッキングして、宇宙船の弱点を探すんだ」
……何やら壮大な作戦が幕を開けようとしていた。




