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下町とニア  作者: oga
10/25

7

 しばらくして、大河さんはこの町を出て行った。

まだ全然稼げるけど、日本の端から端まで行くのが目標らしい。


「目指すは日本一のタコ焼き屋よ。 っつーことで、もう会うことはねぇと思うが……」


 リヤカーを背負って、歩き始める大河さん。

俺はダメ元で聞いてみた。


「あのっ、大河さんのタコ焼きの2号店、ここで出してもいいですか?」


「……許す!」


「やっぱダメ…… え! いいんすか!?」


「男に二言はねぇよ。 じゃあな」


 こうして、俺たちのたこ焼き屋としての生活は一旦幕を閉じた。

俺はそれから、どうにか自分らでタコ焼きの店を開けないものかと悩んでいた。

バイトで稼いだ額はトータルで40万。

そこから家賃代とかの必要経費を引いて、残ったのは30万だ。

タコ焼き屋を開くのに必要なのはガスコンロ、暖簾、リヤカー、その他もろもろ。


「開業資金としては十分だろ」


 それに、足りなければ二アから借りればいい。

アイツ、しょっちゅう1人で飲みに出歩くから、いくら残ってんのか怪しいけど。

そんな二アは、近頃窓際に座って空を良く見上げている。


「なあ、お前、今いくら持ってる?」


 俺が二アに問いかけると、ああ、と呟いてポケットに手を突っ込む。

そして、有り金を取り出した。


「……それだけ?」


「うん」


 銀の玉が三つ、手の平に乗っかっている。

たったのさんびゃくえん……


「てかさ、思い出したんだ」


 二アが突然、そう切り出してきた。


「ん? 何を思い出したんだよ」


「……信じてくれっか分かんないんだけどサ」


 いきなりジャンプして俺の目の前にやって来る。

 

「俺、宇宙から来たんだ。 んで、2019年の4月1日に、この星に巨大ショッピングモールが着陸する」


「……はあ?」

  

 何言ってんだ?

俺をからかうにしても、下手くそ過ぎるだろ。


「そーいや、エイプリルフールだっけな。 まだ31日だぜ」


「マジだよ。 俺は先行してショッピングモールの宣伝をするように言われたんだ。 でも、着陸の時のショックですっかり忘れてたんだ。 証拠、見せてやるよ」


 ニアは立ち上がると、アパートの扉を開けた。


「俺についてきなよ」

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