日常〜5〜
携帯で時間を確認する。
12時5分。こんな遅い時間に家にいないのはお泊まりぐらいだ。案外楽しいものだ。
結局私は、石本透子に言われた場所ではなく家の近くの公園にいた。
1度はやはり、行ってみようと思って家をこっそり出た。でも、石本透子に会いたくなかったのだ。
優香の真似をしてわざとらしく声をかけてきた石本透子が嫌だった。
何気に再現度が高かったのも気に食わない。
優香のことを呼び捨てにしたのも気に食わない。
なににおいても気に食わない。
大した理由はないことでも、気に食わない。
きっと、嫌いな人って言うのは好きな人なら許せることでも、嫌いな人ってだけで許せなくなるのだろう。
嫌いだ。とりあえず、嫌いだ。嫌い。嫌い嫌い。嫌い嫌い嫌い。嫌い嫌い嫌い嫌い。
頭の中で嫌いがゲシュタルト崩壊を起こしている気がした。
「やっほー。甘奈ちゃん!」
おい。馴れ馴れしく呼ぶな。気持ち悪い。
てかなんで、いるんだよ。透̀子̀ち̀ゃ̀ん̀。
「やっぱり来たね!」
いや、そっちからだろ。朝とキャラ変わってるし。
「優香ちゃんは、連続殺人の3人目のターゲットだよ。守ってあげないとね!」
「嘘だ。優香は風邪が長引いてるだけなんだ。」
石本透子が最も恐れていることを口にしていた。口で嘘だというものの、自分以外にもそう思ってる人がいたのは、現実を突きつけられているようだ。
「もう、遅いかもしれないね?えへへ。嘘だと思うならさ、明日いや、今日だね。優香の家に行ってみなよ。家にいると思う?」
知らない。石本透子の言うことなんか信じられない。信じない。信じたくない。
「まぁ、信じなくてもいいよ。それで、優香が死んでも私は、構わないからね。へへへへへ。」不気味な笑いだ。
これ以上石本透子の声は聞きたくない。信じたくないのに信じてしまいそうだった。
急いでベンチから立ちあがり、目の前にたっているそいつを避けながら出口に向かって走った。
じゃあねー!と叫んでる。
近所迷惑な野郎だ。
「お前どこいってた?」
弟が家に着くと声をかけてきた。
コンビニと返事して、ポテチをぐっと押し付けた。
これで、深夜にこっそり出たことを親に言われないだろう。
親はどうせ気づかない。平均野郎な私より、世渡り上手な弟が好きなのだ。
ベットに倒れ込んで、明日いや、今日のことを考える。
石本透子に言われた通りな気がしていやだったが、優香の家に確認しに行こう。そう思った。
それと、信じたくないはないが、石本透子は確実に何か知っていると直感が言っていた。