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カニバリズム  作者: 檸檬。
4/13

日常〜4〜

次の日、学校に優香は来なかった。

風邪でも引いたのだろう。明日くらいになればすぐに学校に来る。

「風邪でもひいたの?大丈夫?」とメールを送った。しかし、そのメールの返信もないまま次の日、そして次の日、と優香は学校に来なかった。1週間が終わった。

土日は優香のことしか頭になかった。

月曜日提出の課題もせず、

親に呼ばれても何されてもボーッとしていた。本当に、優香はやはり、危惧したとおりにあの殺人事件に巻き込まれたんじゃないか。

ここ数日、その事が気がかりでニュース番組ばかり見ていた。幸いにも優香の名前をニュース番組で聞くことは無かった。きっと、風邪が長引いただけなのだ。



月曜日が来た。優香は必ず来るはず、そう思って先週の月曜日を再現するかのように、勝手に石本透子の席に座った。ストーブで手をあたため始める。来る時は曇っていただけの空から、みぞれが降り出していた。

すると、わっ!と声を出して、肩を叩いてくる人がいた。優香だ!嬉しくなったのも束の間。優香のような真似をしたのは石本透子だった。その日は、いつものおさげではなく、髪は少し巻いてあった。まるで、優香だった。優香と違うのはメガネと真っ黒な髪の毛だった。

真似をしやがって。

石本透子にとてもイラついた。実際は、優香だと一瞬でも勘違いした自分にイラついていた。優香なら近づいてくる気配がもっとするはずだったのに。だから、無視して自分の席に戻ろうとした。しかし、その思惑は阻止される。手を引っ張られ屋上まで来させられた。1度振りほどこうと思ったが、意外にも力が強く振りほどけなかった。

平均野郎であきらめの良い私は、1度の抵抗で諦めた。みぞれは雪に変わっていた。




茶山甘奈(さやまかんな)。」

唐突に名前を呼ばれた。

「なんですか?石本透子(いしもととうこ)。」

「あんたはさ、優香がどこにいるか気にならない?」

「気になんかならないわ。」

実際はとても気になってることを隠して、

こないだ名前を知ったばかりの人に弱味を見せまいと努力した。

「そう。」

大した落胆もせず、短く返事をし屋上から帰ろうとした石本透子は突如振り返って、

「私は気になるし、知ってるかもしれない。興味がないならいいけど、あるなら今日の夜12時に校庭で会いましょう。あなたはどうせ、くるだろうけどね。」

なんだあいつと思った。勿論、そんな時間に校庭に行くつもりなんかない。優香のことは気になるが、かといって石本透子と仲良しこよしする気もなかった。どうせ、大したことなんて知らないのだ。


しかし、優香がいないことを気にしている人は私以外石本透子1人のみだった。

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