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TwitterのSS
突発的に書いたもの
「足あと」
朝は早く、海辺を散歩するのが日課だ。打ち上げられた貝殻やのんびり歩くヤドカリを見ながら浜辺をゆくと、猫の足あとが点々とついていた。思わずついていくと梅の花弁の形はいつの間にか小さな人の足跡へと変わり、海へと消えていた。何年も散歩をしていると、こんなことがたまにあるのだ。
「宵宮」
裏通りの小さなお社の宵宮に、人魚掬いが店開きしていた。「やっていきなよ、金魚飴も付けるからさ」隣の飴屋と夫婦らしいく和服の老婆が会釈する。「歌を歌うよ。優しい言葉をかけてくれるよ」水槽の船にいる小さな人魚たちは僕にウインクする。これを海に放ったら、恩返しにでも来るかしら。
人魚と海のもの