2日目 幻想の中の精霊さん
リマ「さぁさぁ、やっとだよ!」
ハロルド「何がさ」
「おい、どこまで歩くんだ?」
ハロルドは疲れた様子で言った。リマに着いてきてと言われて一緒に歩くこと約2時間、もう辺りは暗くなり、木々の隙間から空を見上げれば遠くの山の向こうに太陽はもうほとんど沈んでいる。
「もうちょっとよ!さぁ歩いて歩いて!いっそのこと走っちゃう?」
「・・・いや、いい。歩くさ」
リマはまだまだ元気なようだ。ハロルドはそれを見て休憩というのをもう諦め初めている。
ちなみにリマは歩いても走ってもいない。浮いているのだ。やはりこんなフレドリーだろうとさすがは精霊である。そんなリマをハロルドは見て、ずっと羨ましそうな視線で見ていた。
そして、そのまま無言で歩くことまた数分、2人の視界には大きいとも小さいとも言えない湖が見え始めた・・・。
「ハロルド、ストップ!!」
「うお!なんだ?」
湖まですぐそこというところでハロルドはリマに止められた。リマは人身満々の顔でしゃべり始める。どうやら不安はどこかへ行ってしまったようだ。
「ハル、ここへ何しに連れて来たか分かる?」
「えっ?分からんな。湖に何か有るのか?」
リマは前に驚かすと言っていたはずだが、ハロルドはあえて知らないふりをした。ハロルド、優しいヤツだ。・・・歩き疲れて忘れてるだけかも知れないが。
「ふふん、教えてあげようじゃないの!この私リマ、木の精霊が!まずはほら目隠しをしてっと。」
リマは、どこに隠し持ってたのか目隠しをだし、ハロルドにした。
「どういうこ「えっとね!ハルにはね。精霊、それも木の精霊らしく驚かしてあげようと思ったのよ?人間じゃ、普通お目にかかれないだからね、感謝しなさい!?」・・・だ。そ、そうか。」
そう言った次の瞬間、ハロルドは宙に浮いたような感覚がした。そのまま立て続けに目隠しがバッと取られた。そしてハロルドは目に入ってきた光景に声を出せなかった。
(!?)
それは夜の暗闇のなか、湖の水中は虹色にほのかに輝き、そこから空へと球体となった虹色の輝きが多数昇っている。それらは辺りを闇夜を虹色に輝き照らしている。木々は光を受け、黄色く輝いている。空からは雪が降っており、それは水面を叩き、リズムよく心地よい音を木々の葉の掠れる音と一緒に奏でている。それはとても幻想的な風景であった。
「どうよ、凄いでしょ!尊敬した?」
その時、この場所に似つかわない元気な声がハロルドの耳へと響く。その声が届いてから反応するまでハロルドはある程度の時間を要した。
「あぁ、凄いよ。さすが精霊だ。」
それは放心たしたようなハロルドの声であった。
リマ「おーい、ハル?」
ハル「 」
リマ「おーい!ハルってば!!」