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二人がかりの給料

 今日は彼女にとって記念すべき日となることだろう。さて、その記念すべき日というのはこれである。

「初、給料日だよ! いっくらかな!」


 彼女は通帳を持ってはねていた。通帳記帳してから、敢えて金額を見ずに家まで帰ってきたのだ。


「家から帰ったら、手洗いうがいしようぜ」


 彼女は彼の言葉に耳を貸さず、通帳の金額を読み上げた。


「いち! じゅう! ひゃく! せん、ま、ん? 十万円? え? なんでこんなに?」


 彼女の通帳には二十万ほど入っていた。

 全く身に覚えのないところから振り込まれているではないか。


「ああ。悪い。お前の通帳と身分証明書を借りた」


「え? え? 貴方、何かしたの? 何をしたの? え? 嘘……」


 彼女は、どこかの金融からでも借りたのかと思った。しかし、彼はそれを察して説明する。


「いや、何も悪いことしてないって。新種のフリークを捕まえて提供したんだ。俺らが幼いころまでタガメやタイコウチを博物館か何かに持ってったら金券とか図書カード貰えるあの感覚だよ。悪い金じゃない。マジで」


「ふ、フリークって何?」


「魔力で構成された害獣だよ。知らない? たまに仰天特集でテレビとか出るじゃん」


 彼はあれだ、あの、と色々説明しようとした。


「それって、もしかして魔物のこと?」


「そうそれ!」


「なんだ、魔物か……」


 彼女はそんなことか、と納得する。彼はそれを捕獲していたのだ。確かに、彼は夜や休日などに姿が見えないことがあった。彼はプラバシーを守ってくれているのだと思っていたが、それだけでもなかったようだ。


「……魔物!? はぁ!?」


「繰り返すなよ。声大きいし。母さん下にいるし、大声だと電話してたじゃ言い訳に苦しいぞ」


「え? 魔物って、魔物? インターネットでしか見たことない! この辺に居たの!? 普通は山とか洞窟とか廃墟とかじゃないの!?」


「いや、いるだろ。というかイノシシとか狸みたいなもんだろ」


「いや、それはそれで滅多に見ないけど……」


「ま。しばらくは活動するよ」


「待ってよ。こんな大金、どうすればいいのよ! 逆に困るよ!」


「……家に入れてくれ」

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