プロローグ
〜プロローグ〜
昔々のとある世界。
ここはまだ海しかなく、陸も空もない。
ただ水に満たされるだけの世界。
そんな海界に、ある日一人の神が現ました。
神は海しかない世界を寂しく思い、この世界に命を作ろうと考えました。
まず始めに神は、一粒の種を海に浮かべました。
種は瞬く間に成長し、見上げても天辺が見えないくらいの、大樹に育ちました。
大樹は水を吸収し、空気に変えて吐き出し始めました。
みるみるうちに、世界に空気が満たされてゆきました。
こうして海しかなかった世界には、ミグドレムの浮かぶ水面を境に、海と空に分かれました。
やがて大樹はたくさん葉を茂らせ、二つの実をみのらせました。
落ち葉は腐り土となって、大樹の根元に神の島を築きました。
神は島に腰をすえ、次に大樹の実を使って、二人の神を新に作りました。
神は一人には翼を与え空に住むように、一人にはヒレを与え海に住むようにいいました。
そしてそれぞれがすみやすいようにと、空には大樹の葉を使った浮島を作り天界とし、
海にはミグドレムの根を使った海中の陸地を作り水界としました。
更に神は空の神には太陽を与え、海の神には月を与えました
そしてお互いに交換しながら、仲良く使うように言いました。
そして二人は神の言うとおり半日おきに太陽と月を交換して使っていました。
月日は流れ、世界は多くの神が住まうにぎやかな世界になりました。
すると神は子らをあつめて自らの世界にいた神々の話を聞かせました。
子らはその話を参考に色々なもの創り、世界はさまざまな神話が混ざり合うものへと変わりました。
しかしここでとうとう神の寿命が訪れ、神は深い眠りに付きました。
そして神の眠りはそのまま世界の破滅へとつながっていきました。
ある日水界の王は月と太陽を独り占めして天界は深い闇に包まれました。
怒った天界の王は一族を引き連れ水界に講義しました。
そしてそれが戦いの始まりでした。
天界と水界の戦いは熾烈を極めました。
天界の浮島は落とされ神の島を囲うように海面に浮かび、大樹は焼き払われ神の島の真ん中に大きな穴を作りました。
そして神々は最後の一人になるまで戦い、最後には天界の王と水界の王が相打ちとなって神々はついに滅んでしまいました。
そしてその神々の亡骸から人々が生まれ、
世界は神の時代が終わり、人の時代が始まりました。
―『真央神話全集』より―
まずは物語の、舞台背景の大元となる話をプロローグとさせていただきました。
次回からはいよいよ本編に入ります。
少しづつ更新して行きます。
どうぞ最後までおつきあいいただけますことを。