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魔導書製造者  作者: 樹
エルフの戦争
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人心

 オーガを倒して三十分後、無事次の中継地に着くことができた。

 本気で疲れた…休もう。


「死ぬかと思った…」


 ログハウスに入り敷いてあった布団に倒れこんだ。仰向けになり木の天井をボーっと見る。

 あの時、土屋が助けてくれなかったらヤバかった。本当に死んでいたかもしれない。だが、もし土屋が危ない場面に、それこそさっきの僕と立場が逆転していたら僕は助けただろうか。


「答えは…NOだ」


 考えるまでもない。僕の心は偽りで本当の僕はただ自分のためだけに生きる最低の人間。さっき頑張ったのは、さっき協力したのは自分が生き残るためだ。でも土屋はそういうことを考えていなかった。攻撃能力があるわけでもない。むしろ死ぬ瞬間を見て呆然としていたところから僕の行動があったとはいえすぐに立ち直ったのはなぜだ?そんなの決まっている。僕を見過ごせないからだ。


「あぁ…なんだこれ…」


 イライラする。人の感情は複雑怪奇。知識だけではどうにもならないと思っていたし人がどんな行動をとろうとも考えようとしなかった。考えても無駄だからだ。なのになぜ土屋のことがこんなにも気になっている?どうでもいいじゃないか。ただの駒だ。


「人の、心…」


 本を通してしか感じられなかった人の心に最近触れすぎたのだろうか。トーレイ、ネイス、フォン、土屋。誰もが誰かのために生きている。あいつらと僕は違う。分かりきっているじゃないか…


「これが、未知…」


 未知の恐怖はいまだに消えていない。人の感情は分からないものと分類していたがそれを考えてしまっている以上僕は無意識のうちに理解しようとしてしまっている。

 そんな自分に「いまさら…」と呆れつつも、悪くないと思っている自分がいることに気づいてさらに未知が広がった。

 結果、僕は考えることを放棄した。僕の中で何かが歪んだ気がしたが無視して眠った。

 起きた時にはより本物に似せた心を作ろうと強く誓って。

主人公が人の心に触れています。

何かが変わるのでしょうか。

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