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魔導書製造者  作者: 樹
希望の世界
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エピローグ

僕こと浅守燈義は天才と呼ばれる存在だ。幼少のころから周りから一目置かれていた。そして実の両親からも化け物扱いされた。

 『絶対記録』などと呼ばれる僕の能力は、目で見たもの、耳で聞いたもの、鼻で嗅いだ匂いを絶対に忘れない。全てを記憶し記録する。

 だから僕は人と関われなかった。白い部屋に閉じ込められ、望むものを何でも与えられて生きてきた。だから他人との絆とかが必要なかった。

 だから僕は本にのめりこんだ。

 本は人の心が体現されている。エッセイや小説、百科事典から経済に関する本までできる限り熟読した。僕は本を読んでいる間だけ人の心に触れられた。僕の部屋は本で埋め尽くされ、僕専用の書庫までできる始末だった。


 そして時は流れ高校一年の五月。僕は全く変わらず、誰ともなれ合うことなく本を読んでいる。

 そう。今も本を読んでいる。


 ……生まれて十六年が経った。何故かこの瞬間が懐かしい。


「帰るか…」


 僕は鞄を持って立ち上がった。


「帰りますか」

「帰る」


 僕の後を付いて回るのはまだ中学生のフェルという少女だ。留学生らしく駅前で迷っているところを僕が助けてから妙に僕について回る。

 なぜ助ける気になったのかは未だ不明だ。


「おや、今帰り?」

「…そうだ」


 教室を開けて入ってきたのは生徒会の奴らだ。生徒会長の村崎達人だ。人当たりが良く女子にもてる男子の敵、らしい。何故か僕は嫌いになれないが


「机の整理をするの。手伝ってくれない?」

「ナナ…」


 この高校で再会したナナに頼まれ渋々机の整頓をする。


「相変わらずだね」

「うるせ」


 達人の言葉に答えつつ席を整頓する。

 ……なんか、懐かしいんだよな。


「ナナ」

「何?」

「なんか、懐かしくないか?」

「…そうだね」


 ナナはそう言って笑った。

 僕たちは机を整頓しなおし僕が帰ろうとすると達人に呼び止められた。


「駅前遊ぶ約束をしているんだ。一緒に行かないか?」

「いや僕は…」


 行かないと言おうとすると頭の中に声が響いた。


『行ったほうがいい』


 ……なんだ今の。

 不審に思ったものの僕はいつの間にか行くと答えていた。


「それじゃ、行こうか」

「…分かった」


 フェルを見ると無言でうなずいた。

 …仕方がない。行くか。

 僕は達人とナナの後に付いて他の生徒会役員と合流した。


 どこか幸福な気分になった。


 この後ナナの家庭問題を解決したり母親と和解したり生徒会の奴らとともに学校で起きた事件を解決したりと様々なことが起きるのだがそれは別の話だ。



 森の中の小さな家。あのロキに見せられた夢に出てきたような家に僕たち三人は住んでいた。


「また会議?」

「まぁな」


 創造主が転生してさらにユドグラシルの苗木の願いによって穴が消えたことにより世界はもう一度改変され、あの場にいた勇也たちと僕たち以外あの世界での全ての記憶は消えていた。

 まぁ死んだ奴らが戻ってきたわけじゃないが。


「勇也くん、大変だねぇ」

「あいつが選んだ道だ」


 勇也は前の世界同様スレイクの王になった。今では政務に追われている。

 しかもハーレム状態なのに誰にも手を出していないから面倒なことになっている。まぁ谷川が嫁いでディスベルと仲が良くなったので助言を受けており政治のほうはしっかりとできているようだが。


「悠子ちゃん、また子供産まれたって」

「…三人目か」


 産み過ぎだろう。一年に一人のスペースだぞおかしいだろ。


「それじゃ行くか。フェルは?」

「学校の子供と遊んでる」

「そうか」


 フェルはスレイクの学校に通っておりかなり優秀な成績を出している。

 僕は家の玄関を開けて外に出た。


 あっちの僕はうまくやれているだろうか。


「行こ」

「あぁ」


 僕は美月の手を握ってスレイクの城に向かった。


 世界は今日も平和だ。

こんな最後はいかがでしょう?

これにて魔導書製造者は終了です。初投降小説にして様々な意見をいただき沢山の人に読んでいただいて頭が上がりません。正直自分、終わらせられたことに感動しています。

 それでは今まで呼んでくださった心優しい皆さん、ありがとうございました!

そして次回作もよろしくお願いいたします!!

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