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魔導書製造者  作者: 樹
希望の世界
203/258

終戦

 地面に激突する前に魔法を使って衝撃を吸収し倒れた。上を見上げると神殿が崩れている。どうやらロキが神殿からいなくなったことで形を保っていられなくなったようだ。


「って、やべ…」


 神殿はスレイクの真上にある。このまま神殿が落ちたら街に甚大な被害が出ることに…などと心配をしていたら街に巨大な魔法陣が現れて上から降ってくる瓦礫を防いだ。

 あれがアトランティスの魔法か…凄まじいな。


「クソが…調子に乗りやがって…!別に再生能力がなくたって貴様らなんぞ一ひねりに…!」

「やってみろ…」


 僕たちは全員笑いを浮かべていた。決して気が狂ったとかではなくなぜか笑いがこみあげてくるのだ。

 まぁ、少なくとも負ける気はしないな…!


「消えてなくなれぇぇぇぇ!!」


 ロキが周りの魔力を吸収し始めた。そしてロキの後ろに巨大な魔法陣が展開されそれが四重にまでなる。

 そして、ロキが両手を前に突き出した。


「インフィニティダークエンド!!!」


 その魔法陣から放出された巨大な黒いレーザーのようなものは僕たちを飲み込んだ。

 そのレーザーの威力はすさまじく、何とか造った防御ももう壊れかけていた。


「燈義」

「なんだ…!簡潔にいえ!」

「合図したら、防御を解除してくれ」

「…了解した」


 今更なぜかと質問するまでもない。勇也は闇核を出して集中している。


「って…!もう限界…!」


 谷川も何やら準備しているし、ここは踏ん張るしかないんだろうけど…!結構きついっていうか真面目に壊れかけてるんだが!?


「まだか勇也ぁぁぁぁぁ!」

「できた!解除してくれ!」


 勇也の言った通り防御を解除した。その瞬間ものすごい熱風と死の予感が襲ってくる。しかしそれはどんどんと後退していく。何が起きているのかと確認すると勇也がさっき吸収し許容したロキの力を使ってロキの攻撃を迎撃していた。

 でもさすがに押されている。当たり前だ。そもそも勇也の力ではないのだから。


 だったら僕がサポートするしかないだろう。


「美月!」

「うん!」


 美月に頼んでその魔法を素早く解析してもらい魔導書に記入する。そして完成した魔導書を使って勇也の攻撃をサポートする。


「インフィニティダークエンド…!」


 相殺するんなら同じ魔法が一番だろ?

 僕は笑い、そして勢いの増した勇也の攻撃はロキの攻撃を相殺した。その衝撃で周りが大きく陥没しクレーターのようになる。


「ば、かな…!こんなはずがない!こんな…こんな…!!」

「確かにお前は今まであった中で一番強いけどさ…」


 勇也が、僕たちを見て言った。


「それでも、全員そろった俺たちのほうが圧倒的に強いんだ」


 さすがは勇者。いいことを言う。

 そう。単純なことだ。たった一人でラスボスぶって戦うよりも全員で戦った方がいいに決まってる。

 それに、ラスボスは勇者に倒されるものだしな。典型的な終わりだろ?


「これで、終わりだ!」


 勇也たちが特攻をかける。僕たちも後方支援をする。

 ロキは最後の力を振り絞って剣をだし体術のみで勇也たちを圧倒する。さすがは神様。

 だが、僕たちだっているんだ。


「甘いです!!」


 光海が数百本の矢を上空にむけて撃った、それは一つ一つが光をまとい、光魔法の矢は一斉に空中で止まりロキのほうを向いた。


「星屑落とし」


 光魔法の矢は一斉にロキに襲い掛かった。攻撃している勇也たちには突き刺さることなくロキにだけ突き刺さる。無数の矢に突き刺されたロキの動きが鈍った。


「もらいました」


 その隙を見逃さずフェルがロキの剣を破壊する。そしてロキの背後に回って背中に触れた。


「望破帝、究獄!!」


 久々に聞いたフェルのスキルの名前とともにスキルが発動しロキの体に穴が開いた。しかしロキは止まらない。半狂乱になって黒く染まった腕を振るっている。


「そう興奮しないほうがいいよ」


 谷川はそう言って地面に杖を突き立てた。すると地面から無数の光る縄が出てきてロキを拘束する。そしてその縄はロキの足に巻き付きへし折った。

 うわ…えぐい…


「美月、見えるか」

「うん」


 五感をスキルで限界まで上げた美月がロキの心臓の弱点を探る。ロキも神とはいえ生物である以上確実に即死ポイントがあるはずだ。


「見つけた…!頭と心臓部を同時に破壊するんだって!」

「分かった…岡浦ぁ!」

「言われなくても分かってるわよ!!」


 岡浦は僕に指図されたことが気に喰わないのか怒気をはらんだ声で反応しロキの心臓部に向かって槍を突き刺した。しかし貫通はせず火花を散らしつつ魔法で防御しているらしい。


「破壊してやる!!」


 岡浦の槍に光魔法が宿る。その光でロキの防御はどんどん薄くなっていく。


「喰らいなさい!!」


 岡浦は槍の柄を思いっきり殴った。そして防御は崩れ弱点の一つがあらわになる。

 そしてもう一つ、これは僕の役目だ。

 僕は全力で走り、そしてジャンプした。エアステップなどの無駄な魔力は使っていられない。

 この魔法に、すべてを乗せる。


「ラストインフェルノ!!」


 炎系魔法の文句なしの最上魔法であるラスインフェルノを喰らったロキの頭の防御は全て消えた。


「回復はさせない!」


 美月がロキに直接触れて情報操作をする。ロキの魔力を混乱させ回復も防御もできなくなった。

 後は、勇也の仕事だ。


「絶天交叉!!」


 エクスカリバーとデュランダルの混合剣術魔法『絶天交叉』、僕のラストインフェルノと同じ百年前の魔王を葬った技が炸裂し、ロキは叫び声をあげることなく消し飛んだ。

 僕たちはそれを見て、その場に膝をついた。


 長く、しかし結果が決まっていたであろうイレギュラーだらけの戦争はこうして終わった。

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