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魔導書製造者  作者: 樹
再会から戦争へ
202/258

逆転

 美月に襟を掴まれ後ろに引っ張られた。そして僕のいたところに穴が開く。あのままいたら潰されていただろう。


「クソがぁ…!」


 いまだに残る痛みにイラつきつつ僕はロキを睨む。

 何を斬られたのかは分からないが、魔法を使おうとすると激痛が走って無意識に中断してしまう。というか中断しなかったら痛みで気絶してしまうだろう。


「さて、戦力が一人減ったどころか足手まといができたわけだが」

「足手まとい…?誰が」


 僕はもう一度天蛇の書を開いた。


「無駄なことを」

「それはどうかな」


 その天蛇の書を美月に渡した。美月は頷いて解析を開始し情報操作をかける。


「成程、その魔導書は繋がっているのか。で、治させると思うか?」

「治させるさ」


 勇也たちがロキの目の前に立ちはだかる。ロキは二本の剣を振りかざした。

 勇也たちは光剣を持っていない。あの剣はおそらく魔力のみの剣じゃないと防ぎきれないだろう。

 美月ももう少しかかりそうだし…


「足手まといを持つと大変だな」

「そんなこと…!」

「いや、大変だろうよ」


 苦戦している勇也を見つつ僕は自嘲気味に笑う。

 そうだ。足手まといはいらない。


「足手まといじゃなけりゃいいんだろ…!」


 僕は一応持っておいた光剣を取り出してロキに向かって投げた。その際魔力を光剣にこめたので体に激痛が走り膝を崩す。ロキは魔力だけでできた刃を警戒したのはそれを避けた。


「無駄なことを」

「無駄だと思うか…?」

「思うさ」


 そう言ってロキは後ろから飛んできた剣を避けた。僕がフェルに渡した剣だ。


「まさか背後に気を配っていないと思っていたのか?」

「まさか…!」


 僕は走ってロキに突っ込んだ。ロキは二本の剣を振りかぶった。


 そして僕は笑い、その剣をわざと受けた。体に激痛が走り意識が飛んで、一瞬死んだかと思ったが意地で踏ん張ってロキの剣を掴んだ。

 そして後ろに落ちている光剣を拾った岡浦は僕の体から出ている二本の剣の先を光剣で斬った。光剣も消えたが黒い刃も消え、僕は後ろに倒れた。


 そして一瞬だけ無防備になったロキを勇也のエクスカリバーが斬りつけた。


「ぐ…!」


 ロキは僕たちを睨み後ろに倒れた。


「燈義くん!」


 美月が後ろから天蛇の書を投げた。僕は受け取り魔法を発動する。


「成雷!」


 ロキを雷が襲う。一年前とは違うアペピが起こした本気の雷。最上級魔法よりも上の魔法を受けたロキはその場に膝をついた。


「はぁ…はぁ…!」


 僕は荒い息を整え自分の体を確認する。

 僕の体に痛みはない。美月が僕の体に起きた、というより僕の魔力そのものに起きた異常を天蛇の書を通して解析し情報操作を駆使して治してくれたのだ。


「さすがだな…」

「ありがとう…さすがに疲れたけどね」

「やったの、これ」


「そう簡単にやられると思うか!」


 ロキは勢いよく立ち上がりそして僕たちを吹き飛ばした。


「小賢しい…!小賢しい小賢しい!!」


 その姿を見て僕たちは少し、笑った。


「何を笑っている!!」

「笑えるだろ…あんだけ余裕を持てったくせに人間相手にキレてるんだから」

「黙れ!」


 ロキは僕に向かって魔力弾を放った。僕はソレをまた打ち消す。

 とはいえ…さすがだよな。これ以上長引かせると谷川がきついだろうし…というかあいつこの状況でも魔法とスキルを発動させてるって一体何を…


「はぁぁぁぁぁぁ!」


 勇也がロキに斬りかかった。そして岡浦も光海も攻撃する。

 なんであいつらあんなに元気なんだ……そうか、抱擁の範囲をあの三人に絞ったのか…


「まぁ、打倒だよんな…美月、フェル」

「はい…大丈夫です」

「私も…どうするの燈義くん」

「なーんも思いつかないけど、やるしかないだろ!」


 僕たちも立ち上がりロキに攻撃する。

 しかし、ロキのあの規格外の力はどこから生まれているんだ?さすがに無限の魔力とかふざけた能力じゃないだろうし…無限の魔力じゃないとしたらこの力は!


「美月、フェル」

「なんですか」

「何?」

「道を創ってくれ…僕に考えがある」


 二人は黙ってうなずいた。よく見れば勇也たちも僕たちを気遣ってなのかこちらにロキを向けないようにしている。

 僕はオーバーパワーをかけた。美月とフェルもそれぞれのスキルを最大限に発動させる。


「闇核解放…!」

「壊れなさい!」

「貫いて!」


 勇也たちも死力を振り絞って戦っている。そしてフェルは美月の指示通りにある場所を攻撃した。


「ああぁぁぁああぁぁああ!!!」


 フェルの最大限のスキルにより攻撃された場所は巨大な穴が開く。


 そして部屋自体が崩れた。


 そりゃ部屋自体に僕たちの攻撃に耐えきるだけの耐久値はない。かなり前に、フォンが囚われた時のように弱くなっている部分を破壊して部屋のバランスを崩し崩壊させることだってできる。

 そして僕はエアステップを使って道を造りそしてオーバーパワーとライトニングステップを合わせて一瞬でロキに近づく。


「スキルロード!!」


 そしてロキにふれスキルロードを発動した。

 そう。こいつのスキルは蘇生タイプ。つまり自分の無くなった体や魔力を蘇生していたのだ。

 だったらスキルを抜いてしまえばいい。


「スキルはその人物そのものを現す!貴様にわたしの悪意が受け止めきれるか!」

「僕には無理だろうよ…!だから!」

「俺がその悪意を許容する!」


 勇也が闇核を天蛇の書に侵入させる。そしてロキの悪意を許容の大道魔法で吸収した。


「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 ロキが叫ぶがもう遅い。

 僕はにやりと笑い、ロキのスキルは消失した。

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