断絶
予約設定を間違えて更新されておりませんでした。二話更新いたします。
扉を開けて中に入ってすぐ、爆破された。谷川の防御がなかったらモロ喰らっていた。
爆発を起こしたのは勿論ロキで、そのロキは最奥の部屋の中央にいた。部屋の中は細長い造りになっている。
「全く…予想外だ。フェンリルまでやられるなんて」
「下は勝ったのか」
「下が勝っても戦争に勝ったわけじゃない。わたし一人で全員屠れる」
「させないよ」
勇也がロキを睨む。ロキは不愉快そうに僕たちを睨んだ。
「扉を巨大な矢で破るとか何考えてるんだ…つまらない」
「口調が崩れてるぞ」
「わざわざ丁寧に話す必要もないだろ?わたしのために死ね」
ロキは両手に魔力を込める。禍々しい魔力がこめられロキの腕が黒く染まった。勇也はエクスカリバーを解放し、デュランダルも解放した。
「行くぞ」
「あぁ、来い!」
勇也が叫ぶ。ロキはその両手の魔力を思いっきりぶつけてきた。床を削って飛んでくる黒い塊を僕はグラウンドデリートを使って消滅させた。そのままロキも有効範囲に入れたのだがロキは涼しい顔をして防御もせずグラウンドデリートをくらい、そして消えなかった。
古代魔法を喰らってもびくともしないのかよ。相変わらず化け物だな。
「おおおおおお!」
「はぁぁぁぁぁ!!」
勇也と岡浦がロキに斬りかかる。ロキは二人の攻撃を腕であしらう。その間に谷川が抱擁を発動し僕たちの体力回復をする。
「あぁもう!!」
岡浦がスキルを発動させロキの右腕を吹き飛ばした。
さすがに至近距離からの攻撃は効くのか。と思ったら一秒後には腕が生えていた。そして岡浦を殴り飛ばす。岡浦は殴り飛ばされ壁に当たって痛そうにうめいている。
「アウトオーバー!」
勇也に補助魔法をかける。
古代魔法は範囲が広いし神のスキルは至近距離じゃないと通じないだろう…かといってウィンドスピアなどでは威力が低すぎる。
「仕方がない…」
ぶっつけ本番だがやるしかない。
僕は地面に手をついて魔力を流した。そして流れた魔力は床を伝い丁度ロキの下で槍になってロキに襲い掛かった。あの光剣と同じ純魔力の槍はロキの足を貫きその隙に勇也が斬りかかる。しかしロキは足の痛みなど感じないのか右手だけで勇也のエクスカリバーを受け止めた。
光海はロキに向けて矢を発射し、その矢は巨大化してまっすぐロキに向かって進む。ロキは空いている左手で矢を受け止めるため左手に魔力を込める。
「甘いですよ」
矢の後ろからフェルが走る。ロキが気が付いて魔力弾を撃つがその前にフェルは跳び、矢を踏み台にしてさらにとんだ。ロキは舌打ちしつつも矢を受け止める。その瞬間、上からフェルのスキルが発動し勇也の剣を抑えつけている右手を消し飛ばした。勇也はそのままエクスカリバーを振り切り剣から発せられた光はロキを飲み込んだ。
勇也とフェルは素早くその場から離れる。土煙が上がりロキの様子が確認できない。
「燈義くん!」
美月が叫び情報操作でその場に満ちている魔力を集め僕の前に盾を創った。そこをロキの黒く染まった左手が襲う。盾は激しく振動し一撃で壊れた。
「エクシードウィンド!!」
二撃目が来る前になんとか風属性の最大級魔法でロキを吹き飛ばした。普通なら真正面から喰らえば肉片も残らずバラバラになるように魔法だが…
「やてくれるではないか」
ロキは腹に穴が開き頭から血を流しても息切れひとつせず僕たちに話しかけた。そして腹の傷も頭の傷もすぐに治ってしまう。
でも、腹のほうは治りが若干遅かったな。
「では、わたしも魔法を使おう」
いや、今までのは魔法じゃなかったのか…?という疑問を投げかける暇もなくその魔法は発動した。
黒い球体が出てきて部屋全体に広がっていく。そして部屋を包み込むとそこから大量の黒い武器が出てきて、ロキはその武器のなかから剣を手に取った。
「戦獄影牢。という」
短くそう言って斬りかかってきた。勇也はエクスカリバーで受け止めようとするが黒い武器が目の前に来た瞬間に全力で後ろに跳んだ。
「黒々みたいだから油断した…!」
勇也はすぐさまエクスカリバーにできるだけの魔力を込めた。
あの黒い剣、なにかあるな…接近戦では危険か…
「エクストラバインド!」
エクストラバインドでロキを縛る。ロキは鼻を鳴らして拘束をちぎった。でもおかげで隙が生まれた。
谷川がすかさず抱擁の効果を発動し魔法を分断した。とはいえ分断できたのは少しだけで僕たちの周りは無くなったもののロキの周りではより濃くなった武器たちがある。
「小賢しい」
「勝てばいいのよ!」
岡浦が槍を投擲した。破壊の力を乗せた槍はすごい速度でロキに向かっていく。しかしロキは体を少しそらして避けた。槍は地面に突き刺さる。
「無駄なことを」
そう言ってロキは槍を取り出して同じように岡浦に投擲しようとして止まった。
槍が崩れたのだ。
「チッ」
ロキは忌々しそうに舌打ちをした。戦獄影牢がいかに強力だとしても魔法の元を絶てば問題はない。美月がすぐにその魔力の元を見つけて岡浦の破壊の力で攻撃したのだ。
だがロキは二本の剣を切り離して手に持った。
「まぁ、戦獄影牢の力が理解されていない以上問題はないか」
ロキはそう言って斬りかかってきた。
そう。ロキの魔法はまだ理解できてない。勇也は何か感じたようだがまだわかっていないようだ。
ロキは無表情のまま僕たちを斬りつけ続ける。
「あっ!」
逃げていると足元をすくわれ美月が転んだ。ロキはすぐさま美月にむかって剣を振りかぶる。
「美月!」
僕はとっさに美月をかばって、新品の魔導書を盾にするが剣は魔導書を斬ることなく、そして僕の体を斬ることもなかった。
しかし、斬られた部分に激痛が走った。
「クソ…!」
だが我慢できないほどではない。僕は美月を連れて転移しようとしたが全身に痛みが走り魔法を中断せざる負えなかった。
やばい…!やばいやばいやばい!魔法が、使えない!!