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魔導書製造者  作者: 樹
再会から戦争へ
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閉鎖

あ 最終決戦の火ぶたは切って落とされた。翌朝、曇天の空の上から神々の尖兵がルグルスに攻めてきた。だがルグルスの領土内ならアペピの効果範囲内だ。

 だから、アペピを餌にする。


「最近我の扱いがひどい気がするのだがな」

「利用するできるものは利用しなくちゃな。ほら来たぞ」


 もうアペピが何か仕掛けていることは敵に知られているらしくアペピには大量の尖兵が集まっていた。しかしアペピは虫でも払うかのように尖兵を殺していく。


「しかし少年、我の力の範囲外からの攻撃はさすがに対処できないぞ」

「あぁ、分かってる」


 ルグルスの領土外からの超長距離攻撃。成長しきった尖兵か、あるいはロキの関係者あたりならできるだろう。

 だが、対策はしてある。


「…一年前を思い出すな…」


 ディスベルが顔をしかめた。

 アンチキングダムを限界まで発動している。この地では生物が死に過ぎている。だから魔獣の半壊したしたいやら骸骨戦士やらが基本尖兵と闘っていた。そして残ったエルフなどの魔導士たちは超長距離攻撃の防御に集中できる。

 そして、電脳種と生き残った獣人族と魔族。そして僕たちは救済に乗り本拠地に突っ込む。

 兵士たちはそれぞれ別れを済ませたのか全員迷いのない顔をしていた。


「じゃ、行ってきます」


 キトルが残って防衛をするディスベルに挨拶をし、そして救済は飛び上がった。



 救済は、当然ながら大量の攻撃を受けた。時には貫通してくる攻撃もあった。キトル曰く「速さ重視にしたら防御力がバカみたいに低下した」だそう。開いた穴をふさぐのも大変だ。


「さて…向こうに着けば僕たちは分かれて行動することになる」

「恵梨香さんを助ける俺達と、陽動の燈義」

「そして全員揃ったらロキを迎え撃つ…作戦通りにいくかしら」

「作戦通りにいこうがいかなかろうがやるしかないんだ。一応いっておくが、ロキに会ったら全力で逃げろよ」

「分かってる」


 僕たちは最後の作戦の確認をする。まぁロキがそう作戦通りにいかせてくれるはずもないが、そこは臨機応変に対応してくれと言うしかない。

 こんな大規模でふざけた戦争、地球ではないからな。いやあったとしても僕たちに参加権なんぞないが。

 そう思うと本当に、理不尽で不条理だよな。


 まぁ、全員こんな世界が気に入っているんだけどな。


 そんなことを考えていると救済に強い衝撃が走り停止した。


 ついたか…


「燈義くん」

「燈義、号令を頼む」

「…それじゃ、行くぞ!」


 僕の声に全員が頷き、そして雪崩のように救済から出ていく兵士に紛れて本拠地に降り立った。

 本拠地はまるで、神殿だった。


「アースエフェクト!」


 アースエフェクトでアペピと同じような効果を神殿全体にかける。とはいえアペピほど完璧ではなく、またアンチキングダムも発動しているので尖兵はおそらく中級の上の方から上級魔法でないと倒せないだろう。

 とはいえその程度なら何の問題もないけれど。


「この前のようにはいかないぞ、ロキ」


 僕たちはつぶやき、派手な魔法を撃ちつつ陽動を開始した。



 神殿の中は広く、しかも至る所にトラップと尖兵がいる。燈義たちがうまく陽動しているからいない場所を進めばいいけど…奥に行くほど警備が厳重になっているな。だから俺たちはなるべく敵と鉢合わせないように進んでいく。

 …ていうか、これって…


「誘われてるよね」

「誘導されてるわね」

「そうやね」


 俺の言葉に美鈴と悠子が頷く。こんなに簡単に進めるものか。だが、誘われているのだとしても進むしかない。


「で、着いたのがここか…」


 巨大な扉の前、扉には殺しあう生き物の姿が描かれている。

 悪趣味だな…絶対ロキの趣味だ。


「入るよ…」


 警戒しつつ扉を開ける。案の定、三本の矢が飛んできた。俺たちはそれを避けるでもなく普通に叩き落とした。

 何の変哲もない、ただの矢だ。


「恵梨香さん!」


 中は教会の大聖堂みたいになっていた。唯一違うのは十字架が反対になっていることだ。そして最奥の祭壇に弓を構える恵梨香さんがいた。


「ようこそ、わたしの城へ」


 声が響き反対になった十字架の上に影が降り立った。

 ロキ…!


「そう警戒しないでくれ。これはただの分身でね。本体ほどの力はない」


 その言葉を聞いているうちに後ろの扉はしまった。


「さて、君たちを歓迎することはできないから一つイベントを用意してあげよう」

「イベント…?」

「そう。あの扉の素晴らしい絵を見ただろう」

「あの悪趣味な絵ね」

「あれと同じことをしてもらう」

「同じこと?」

「そう、つまり」


 影は、嬉しそうに闇のように黒い顔にある真っ赤な口を愉快そうにゆがめた。


「殺しあえ。この部屋を出られるのはたった一人だけだ」


 俺の予想通り、考えられるだけの最悪のルールを提示しきた。多分あの扉に攻撃したところで無駄だろう。

 しかしロキがどういう策を仕掛けてこようと俺たちのやることは変わらない。


 このふざけた戦争を終わらせて、そして創造主も倒してハッピーエンドを迎えることだけだ。


「恵梨香さん、武器をしまってください。協力すれば出られます」


 一応呼びかけてみたが恵梨香さんの目は恐怖におびえていてこちらの話を聞こうともしない。

 俺はため息をつき、剣を抜いた。美鈴と悠子も武器を構える。


「それでは、死合い開始」


 影が嬉しそうに宣言した。

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