表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導書製造者  作者: 樹
再会から戦争へ
192/258

遺跡

 王の死体は、あの後すぐに消えた。何とかスキルの発動が間に合って無事に送れたのだと思う。

 そして僕たちは状況報告のためにあの王の部屋へと戻っていた。外は今だ王黄な騒ぎとなっている。


『ユウヤが王、ねぇ…まぁいいんじゃないか?戦争にさえ支障がなければ』

「いや…本当に王様とかどうやればいいかわからないんですけど」

『ま、必要な時は手助けしてやるよ。で?どうなんだアトランティスの魔法とかいうやつは?習得できたのか?』

「燈義が確認しに行くそうです。俺はこの部屋から出られそうにないですけど…」

『全員目覚めたから美月をそっちに送った。ルーが迎えに行っているから合流しろと伝えてくれ』

「分かりました」


 勇也はディスベルに報告を済ませたようだ。

 そうか。美月が来るのか。それはありがたいな。


「聞こえた?」

「あぁ…とりあえずその巻物に従って進んでみる」


 王の残した巻物は地図だった。しかもヤマタノオロチの時に壊れたあの遺跡のさらに先にある場所の地図だった。


「世界に干渉する魔術か…」

「それを使えばこの戦争に勝てるのかな?」

「使えればな。だが期待しない方がいいぞ。そんな簡単な解決法でこの戦争に勝てるなんて思えないからな」

「…分かってるよ。さてと、それじゃ俺も一仕事しようかな」

「それじゃ、頑張れよ」

「あぁ」


 僕は王の部屋から美月との合流地点である遺跡の前に移動した。それからほどなくして城の一部で爆発が起きた。



 燈義が行ってすぐ、美月を迎えに行ったためにルーさんもおらず俺は部屋で一人になった。

 そして部屋の外から殺気を感じてため息をつく。先ほど指名手配したクーデターの首謀者たちが強行突破しに来たんだろう。


「ま、この程度なら一人で何とかなるんだろうけどさ」


 俺は剣を抜くことなく特に防御をすることなく扉を開けた。そして目の前にいる七人の兵士たちにむかって笑いかける。


「何しに来たのかな?」

「あ…っと、お覚悟を!」


 俺の目の前にいた兵士が反応に遅れつつも俺を刺そうと剣を向けた。しかしその剣俺は掴み握り砕いた。


「は!?」


 剣を持っていた兵士が驚きの声を上げる。俺は手に握っていた剣の破片を床に落とす。


「悪いけどさ、君たちじゃ百人束になっても勝てないんだ…戦うのやめてくれないかな?」

「あ…すみませ…」

「あぁ気にしなくていいよ。部屋に戻って休んでてね。俺は少し出かけるから」

「ど、とちらに?」

「ちょっと武力行使に、ね」


 俺はにっこりと笑った。兵士たちはその笑顔におびえているようだった。


 ずっと、怒っていた。その怒りを戦場で発散していた。でも今はその怒りを正当にぶつけていい場所がある。

 つまるところ、腐った貴族をぶっ倒せばいいんだろう?


「さーてと、始めようか」


 城門を開ければ大量の兵士たちが待っていた。



 遺跡の前で美月と合流した。街の方では爆発とかが起きているが気にしない方がいいだろう。


「大丈夫なの、あれ」

「大丈夫だろ」


 この程度のことは日常茶飯事だ。今の勇也ならただの兵士なんて相手ではないだろう。

 それよりも重要なのはこっちだ。


「この遺跡ってまだ先があったんだね」

「みたいだな」


 あの壁画の先に道があった。人一人分が通れるくらいの地下へと続く道だ。


「なんでこの世界は地下にばっかりダンジョンがあるんだよ」

「まぁ、そういうものなんじゃない?」


 愚痴りつつ僕たちは道を進む。すぐに日の光が届かなくなって護光を使って道を照らした。

 そして五十メートルほど進んだところで開けた空間に出た。


「暗くて何も見えないね」

「光を強くしてみる」


 護光をさらに強くしたところ、部屋の全体が見渡せた。

 これは…


「文字…?日本語?」

「みたいだな。これは…召喚魔法について、だと?」


 あの本と同じだ…所々欠けているものの読めないことはない。

 これは…召喚魔術の研究過程か!


「すごいね…」

「確かにすごいな…部屋全体に書いてあるぞ」


 いや、そうじゃない。本当におかしいのはそこじゃない。

 本当に注目しなくてはいけないのは、なぜアトランティスの遺産が全て日本語で書かれているかということだ。

 今更だがこの世界の文字は日本語ではない。日本語を知っているのは召喚された僕たちと創造主。可能性があるとしてもキトルと王だけだ。

 だが、これは勇者召喚に必要な魔術について書かれている。つまり創造主たちが来る前にこれは書かれたことになる。


 なぜアトランティスは日本語を書けたんだ?


「すごい量…全部読み解くのは不可能じゃない?」

「いや全部読み解く必要はない。これは研究過程を示してるんだから最終的行き着いた結果だけ分かればそれでいい」

「でも探すの大変そう…」

「いや、見たところこれは魔法で書き記されてる。書かれたのが一番新しい場所を探せばいい」

「…つまり?」

「頑張れ」


 美月は苦笑いを浮かべた。

 とはいえ…さすがにこれは多いな。何かヒントがあれば………


「ッ!?」


 頭が痛い!記憶が蘇って!?


 前世の記憶、とでもいうのか!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ