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魔導書製造者  作者: 樹
再会から戦争へ
178/258

吸引

 救済が意思をもってキメラを攻撃し始め、空に浮いているキメラをあらかた倒した時点でそれに気が付いた。

 こいつら、減ってない。


「おいキトル。前に死んだ敵がループしてるって話があったよな」

「あったね」

「今回もそれが起きてるんじゃないか?」

「起きてるって…まさか死んだ瞬間にループしてまた襲ってきてるってこと?でもあれは偽装のスキルだったじゃないか」

「だがそうでもしない限りこの敵の量はおかしいだろ」

「そうだけど…でもそれでどうする?仮にループが起きているとしてもループなんてことができるのはおそらく神クラスの魔術師か神そのものだよ彼らのいない今の戦力で倒せるとは思えないけど」

「倒す必要はない」

「というと?」

「要するにループさえ止められればいいんだろ。ループってのは自然現象じゃない。神の力が作用してようが魔法だ。だったら手の打ちようはある」

「でも神の力は自然現象に匹敵するよ」

「だが倒せる。それはあいつらが証明した」


 あいつらにできてオレ達にできないなんで道理はない。

 とはいえまずはループの原因を探るべきだな。


「思い当たる原因と言えば時間干渉に魂への干渉。あとは世界そのものに対する干渉だけど…」

「世界そのものに対する干渉だったら世界と通じている他の神が気づくはずだ。例えばあの悪神とかな」

「それもそうだね…だったら時間か魂か」

「転生なんてものがあるとしてもそれに干渉することは世界に干渉することだろ。だったら転生時の時間短縮はできないし、魂に対する干渉だとしても体が用意できなきゃ意味がない。そしてその体があるとしてもこんだけ攻撃して減ったことが感じられないのは不自然だ」

「最初の意見と随分とずれたね。神の仕業ではないと?」

「そう決めつけるのも早い……何かなかったのか…」


 これだけの現象が起きているのに前兆がなかったとは思えないが………


「…ん?」

「どうかした?」

「……悪い。地上の映像をズームしてくれないか?」


 地上の映像がズームされる。

 …確か、前にあったよな。


「なぁキトル」

「…なんだいディスベルさん」

「前にあったよな……お前らのところで」

「あったね一年前に」


 そう、一年前。トーギとミツキが事前に処理できたとか言っていたあの事件…


「砂のゴーレム…だよな」

「みたいだね…」


 一年前に現れかけた新種族。キトルと同じスキルを持った何者かが砂で創った新種族。

 確かにこれがあれば体のことは解決だろうが…いや待て、そもそもこれに神が介入しているのか?


「なぁキトル。電脳種を他の種族のように造りかえることは可能か?」

「魔法の力さえあれば可能だけど……まさか」

「そのまさかだと思う」


 あれは他の生物を融合させたキメラじゃない。あれは砂のゴーレムを変化させてキメラらしくしているだけだ。


「いやそれにしても数が多すぎるよ!?一体一体変化の魔法をかけるなんて芸当できるはずがないじゃないか!と言うか最初にあがっていたループの話は!?」

「あぁループは間違いだ。すまん」

「すまんって…まぁいいや。それで?どうやってあれだけのゴーレムを変化させたのさ」

「さぁ?新種族の特徴かもしれないし、分かるはずないだろ」

「…だったらこの状況をどう打開するのさ」

「打開する手くらいある。つまりは砂なんだろ?」

「そうだね」

「だったらやりようはあるじゃないか」


 そう言ってオレはにやりと笑った。



 数十分後、大量のそれを戦艦につめた。


「これでいいのかな…」

「いいんだよ。準備はできてるか?」

「できてるよ」

「それじゃ、開始」


 そして各船からそれを落とした。


「もう少しで排出できます!」

「よーし頑張れ」

「よくこんなこと思いつくよねホント」


 そして最後まで降り注いだそれはゴーレムの中に入っていく。

 よし。


「敵が砂でよかったよホント」


 魔術師部隊に合図をだし、魔法を発動させる。

 発動させたのは、磁気。


「おーおー吸い寄せられてる」

「うわー…きもいなー」


 さっき落としてそれ、砂鉄を大量の含んだ敵は空中にできた磁気に吸い寄せられどんどん集まってくる。


「まぁ磁気程度で壊れてもらったら困るから対策はしてあるとはいえ…この距離でこの規模の磁気はさすがに救済以外は支障をきたすよ」

「リンクは切ってあるんだろ?救済に支障がなければ問題ない」


 救済が落ちない限り他の船が落ちることはない。

 とはいえ…予想以上だな。半分くらいつれればいいと思っていたが。


「ここは鉱山地帯だからね。砂鉄も豊富だったけど…どうするの?いろんな武器とかも集まってるけど」

「丁度いいところに崖がある。あそこに捨てる」

「うわー…えげつない」

「そんなこと言ってる場合か。おい突入班」

『了解しています』

「結界はってないと死ぬからな気を付けろ」

「はぁ…ルーさん大丈夫かな」


 司令部にいる二人はそれぞれ違う笑みを浮かべた。

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