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魔導書製造者  作者: 樹
それぞれの戦い
153/258

攻撃

六月五日まで投稿を中止いたします。拙い文章の物語を読んでくださっている皆様、申し訳ございません。

 もうすぐ総攻撃が開始される。コーホジークの明日を決める戦いが始まる。到来機関にいた非戦闘員はキトルの交渉のおかげでフォンが匿ってくれているらしい。

 それにしても、こんなに急なのはやはりリライトの効果が消えかけていることにあるのだろう。キトルには世話になったし、自分がやるべきことは分かった。そして、キトルと生きながらせられる方法も見当はついた。


 だが、解決していない問題がいくつかある。その一つ、最も重要な問題は…


「そう言えば、救済の在り処は分かったのですか?」


 フェルの質問に僕は首を横に振った。

 

 救済の在り処がいまだにわかっていない。


「救済の形や性能は分かったんだが…在り処が全く分からない」


 救済の形は到来や福音と同じ巨大な戦艦。性能は圧倒的な質量と火力。この世界には珍しい実弾を使った兵器だ。

 実弾は時に魔法よりも強い。


「最後のヒントと言えば美月が持ってる鍵だけだ」


 美月が僕に見せた黄金の鍵。なんの鍵かは全く分からないが、重要なものだということは分かる。

 だがどこの鍵かわからなかったら何の意味もない。


「で、だ。お前はいつまでそうしているつもりだ?」


 僕は僕たちの部屋にいるもう一人、ふさぎ込んでいるルーに話しかける。あの美月をもってしても口を開いてくれないほど落ち込んでいるこいつの雰囲気はまるでお通夜のようだ。

 まぁこいつの中ではキトルの葬式が展開されているかもしれない。


「説明はしたんだけどな…」


 リライトの再現など、立ち直らせるための説明はした。だがこの調子だ。おそらくキトルの「生きたくない」の言葉が信じられず現実逃避でもしているんだろう。


「あのなぁ…」


 僕が言葉をかけようとしたその時、大音量のアラームが到来中に響き渡った。


『前方に敵艦出現。敵艦出現』

「予想より速くない!?」

「敵も手を打ってきたってことだろ…!ルー!」


 ルーに呼びかけてみても動こうとしない。


「何してるんですか!戦争がはじまりますよ!」

「もういい…キトルが生きていたくないんならあたしも…」


 心の支えであったキトルの言葉がこんなにもこいつを追いつめるのか。

 …構っている暇はないな。


「指定位置につくぞ」

「でも!」

「戦争だ。戦う意思がない奴はいても邪魔なだけなんだよ」


 そう言うと美月は何か言いたげに口を開きかけたが何も言わずに僕の後に続いて部屋を出た。そして後ろを振り返ることなく廊下を歩く。


「キトル!」

「やぁトーギくん、ミツキちゃん、フェルちゃん。始まったよ」

「だと思った。敵は!?」

「総戦力」

「は?」

「コーホジークの総戦力が攻めてきた」


 総戦力…なるほど。行方不明になる前に潰しておこうというわけか。

 ということは、いるよな。フォーラスも。


「それと面倒なものを起こしたみたい」

「面倒なもの?」

「アーキア。地上最強の殲滅兵器」


 僕の額を汗が流れ落ちる。

 ア、アーキア…どれだけ本気なんだよ。


「ヘルヴェチカ。見覚えは?」

「ある。文献に乗ってた」


 救済が空の絶対戦力ならばヘルヴェチカは地上の絶対兵器だ。基本攻撃は極大魔力による砲撃。まともにくらったら並の船なら一瞬で消滅する。いくら到来と言ってもヘルヴェチカの砲撃には耐えられないだろう。


「どうするんだ?」

「僕がリマスターを使うことは禁じられてる。悪いけど君たちに任せるよ」

「エンドカードの時は使ったじゃないか」

「あの時はイレギュラーがいたからね。それより、のんびりしてると死ぬよ」

「分かってるよ」


 もう既に魔術部隊が防壁をはっている。大体の砲撃は止められるだろう。


「なぁキトル」

「なんだい?」

「この戦争も、仕組まれたものなのか?」

「…どうだよ。僕が仕掛けて、君たちが乗り越える戦争だ」


 だろうな。お前のリマスターでも使わない限りコーホジークの総戦力が出てこないよな。


「負けたらどうするんだよ」

「負けないよ。君たちはね」


 お前はどうなんだ。という質問を飲み込み時計に乗り込む。そして兵士を積んだ時計は高速で発進した。


「フェル」

「はい」

「もしフォーラスと闘うことになったら逃げろ。そして僕に連絡してくれ」

「理由を聞いても?」

「決着をつけたいんだ」


「では今すぐに」


 時計が、崩壊した。空中に投げ出された僕たちが見たのは完全武装しているフォーラスだった。

 巨大な魔法銃を背負い、背中に二本の剣をさし、そして足から魔力を噴射し空中に浮いている。


「断罪。完全武装です」

「そうかよ」


 この状況を予測していなかったわけではない到来の戦闘員の生き残りは既に各地に散らばり、戦闘を開始している。フェルももういない。

 僕は空中で体制を建て直し、フォーラスを見る。


「一応聞きますが、戻るつもりは?」

「ない」

「あなたが革命家を夢見ていたとは。もっと現実的な方だと思いました」

「生憎、見られない夢を見るほど馬鹿じゃない。この革命は成功する」


 正直、僕にとって革命はどうでもいい。

 でも、それで強くなれるのなら、僕を助けられるのなら乗っかってやるまでだ。


「行きます」

「ああ、来い」


 フォーラスが僕の銃口を向ける。僕はフォーラスに天蛇の書を向ける。


 さてと…頼んだぞ。美月。


 救済を、見つけてくれ。

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