ハーフ
生まれた時から
僕には
片方しかなかった
ある方を器用に動かして
平気な顔して
過ごしているけれど
時々
集中していないと
ぼくは揺らめいて
グルグル回って
落っこちそうになる
僕は違うものを片方ずつ
顔に張りつけて遊ぶ
怒った顔と笑った顔
澄ました顔とおかしな顔
泣いた顔と表情なしの顔
母さんはいつも同じ表情で
僕を点検して寝てしまう
僕は片方の心が疲れて休みたいと
泣くのを聞きながら、眠った
父親の話を聞いたとき
僕の中で、ないはずの所が熱くなって
黒い液体が汚い音をたてて
流れこんできた
僕は笑った顔と怒った顔を
張りつけて
母さんに見せた
母さんも笑った顔と怒った顔を
張りつけて
僕に見せた