チャプター3 強くなるためには・・・
2年後。ブライアンは朝食の時、こんなことを言ってきた。
「お前、武道教えてやろうか?」彼の言葉にトビアスは苦手意識を露わにした。
「僕・・・運動苦手だから・・・」
そう、トビアスは大の運動嫌いだ。当然、体もガリガリで貧弱だ。
ブライアンは少し強引に言った。
「お前、そんな体じゃ強くなれないぞ!?男だろ!」
運動神経抜群で父からしごきを受けていたブライアンはトビアスを連れて、外に出た。
「よし、まずは俺を殴ってみろ。」
突然の彼の言葉に、「えっ!?」としかトビアスは言葉が出なかった。
「いいから殴ってみろ。」
ブライアンは腹筋に力を入れている。
トビアスは力いっぱいパンチをした。
「もっと力を出せるだろ。来い!」
ブライアンはさらにパンチをするように言った。
トビアスはまたパンチをするが、
「もっと来い!」
とブライアンは叫んだ。
何発もパンチをし、へとへとになったトビアス。
他の子供たちは皆2人に注目している。
「よし、これから腕立て伏せ、腹筋、背筋をそれぞれ10回づつだ!」
ブライアンはなかなか止めてくれなかった。
体力の無いトビアスにとって、たったの10回でも100回に聞こえるのだ
。
それらを終え、夕食時にブライアンが言ってきた。
「よく頑張った。お前なら強くなれる。」
トビアスはなぜこんなに自分を強くさせようとしているのかわからなかった。
次の日からも、ブライアンのトレーニングは続いた。
ブライアンはその度にトビアスを褒めていた。
「お前は日に日に実力がついてる。これからも諦めるな!」
彼の言葉は着実にトビアスを成長させていた。
ブライアンは彼に可能性を感じていたのだ。
月日はたち、10年後。既に孤児院を出て、逞しい男へと成長したトビアスにブライアンが提案してきた。
「なあ、トビアス。日本に行くぞ!」
「日本!?」
「そうだ、トーキョーに修行しにいくんだ。」
ブライアンの提案にトビアスは驚きを隠せなかった。
「費用はどうするんだ?」
「ノーラン産業が出してくれるよ。」
「ノーラン産業?」
「俺の友達だ。」
ブライアンの父はその企業の会長と友達であり、ブライアンも世話になっていた。
「空港へ行く迎えの車を呼んでるから。」
ブライアンは既に迎えを呼んでおり、あと数分で来るらしい。
迎えの高級車が到着し、車から初老の黒人が降りてきた。
「ブライアン、久しぶりだな。元気だったか?」
「サムじい!久しぶり!」
「その呼び方はやめろと言っただろ。懲りん奴だ。おや、新しい友達か?」
サムはトビアスを見て言った。
ブライアンはトビアスを紹介する。
「ああ、俺の親友トビアス・キートンだよ。」
ブライアンに紹介されたトビアスは挨拶した。
「初めまして。トビアス・キートンです。」
「おお、好青年だな。ブライアンとは偉い違いだ。」
サムがそう言うと、ブライアンがヒソヒソ声で言った。
「余計なことを・・・」トビアスはそれを見てクスクス笑った。
トランクに荷物を積み込むブライアン。
「お前の荷物は俺が用意した。安心しろ。」
ブライアンはそう言うと、トビアスとタクシーに乗った。
車は出発し、車内でトビアスはブライアンに聞いた。
「ブライアン、修行って何をするの?」
「刀だ。あと、カラテだな。」
ブライアンが言うと、トビアスはどんなものなのか考えた。
初めて触れる日本武道。
トビアスはドキドキしていた。
空港に着き、彼らを見送るサム。
「もう、ケンジには連絡しておるよ。ゆっくり楽しんできたまえ。」
「行ってきます。」
トビアスとブライアンは手を振りながら、雑踏の中を歩いていった。
飛行機に乗るトビアスとブライアン。
初めて乗る飛行機にトビアスは興奮を抑え切れなかった。
「飛行機に乗ったのは初めてだよ。お金持ちになった気分だ!」
アメリカを出たことが無かったトビアスにとって凄く新鮮なものだった。
ブライアンは微笑んでいた。
飛行機はドレイクシティ国際空港を出発した。