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チャプター17 3人の怪人

その夜。

トビアスは、自室のクローゼットから、スーツを取り出して、それに着替えていた。

「さすがにファルコンマンに変身して行かないんだな。お姫さまを乗せる王子みたいでかっこいいと思うが。」

「地味すぎるよ。ファルコンマンは。」

「逆だろ。派手すぎる。」

「色の問題だよ。」

「何だ、色の問題か。」

トビアスとサムはそんな会話をしながら、ガレージへと向かった。

赤のポルシェに乗り込むトビアス。

「トビアス、ホントは食事に行くためじゃないんだろ。トランクにスーツは入ってるから。それと、新機能が入ったからな。」

「新機能?」

「ウェイクアップコールだ。スーツを着た後、試してみな。」

「ありがとう。じゃ、行ってくるよ。」

「気をつけてな。頑張って来いよ。」

サムは、出発していくトビアスを見送った。

街に出たトビアスは、周囲からの視線を我が物にしていた。

老若男女問わず、様々な人々が、赤いポルシェに乗るトビアスへと視線が向いていたのだ。

この街には、大富豪があまり居ないため、トビアスやサムのように、高級車に乗る人間は少ないのだ。

大きな公園で、メアリーが待っていた。

「凄い車ね!自分で買ったの!?」

ポルシェを見て、彼女が言った。

貰ったと言ってはかっこ悪いと思ったトビアスは、「ああ。自分で買った。」

と言うと、メアリーは助手席に乗り、「あなた、嘘つきね。正直に貰ったって言いなさいよ。」

と笑顔でトビアスの鼻に触れた。

頬を赤らめるトビアス。

「じゃあ・・・行こっか?」

「ええ、行きましょう。あたし、お腹ペコペコだわ。」

メアリーは笑顔で言った。

アクセルを踏むトビアス。

街は、ネオンサインがとても綺麗だった。

犯罪の多い都市とは思えないほどだ。

日本料理店に着き、入店するトビアスとメアリー。

店内はとても広く、日本風の造りだった。

席は座敷で、白人や黒人、アジア人など関係なく、皆楽しく食事をしていた。

日本人のバンドが、舞台で歌を歌っている。

「いいお店だわ。たまにはこういうところもいいわよね。」

「そうだね。」

トビアスはそう言いつつ、周りを見回していた。

ロドリゲス刑事を発見。

「メアリー、知り合いを見つけたから、挨拶に行ってくるよ。先に座ってて。」

「知り合い?ええ、わかったわ。」

メアリーは、2階へと上っていった。

うまく誤魔化したトビアスは、ロドリゲス刑事のもとへと向かう。

「刑事さん、なんでここに?」

「ファルコンマンに頼まれたんだよ。

張り込みをしてくれと。君はどうしたんだ?デートか?」

ロドリゲス刑事は小さな声で言った。

「まあね。ところで、ファルコンマンはここが怪しいって?」

「イシイが経営している店だから警戒しろと言われたんだ。」

「彼、今日は来るって?」

「さあ、奴からは何も・・・それより、ガールフレンドが待ってるぞ。行って来い。」

「ありがとう。」

トビアスは、2階へと上がった。

「長かったわね。どうしたの?」

「ちょっと長話になっちゃって・・・ごめんね、待たせて。」

「大丈夫よ。ところでトビアス、あなた何食べる?」

「僕はねぇ、何にしよっかな・・・決めた。カツ丼にする。」

「じゃあ、あたし、お寿司で。」

「かしこまりました。」

注文を聞いて、1階に下りていく店員。

メアリーは、トビアスに話しかけてきた。

「ねえ、トビアス。あたし、この前、ファルコンマンに助けられたの。」

「ホントに?」

「ええ、仕事から帰る電車を降りて、たまたま街灯の少ない道を歩いていると、男2人に襲われて・・・でも、空からファルコンマンがやってきて、やっつけてくれたの。」

「それはよかった。彼はヒーローだからね。」

「彼に言ったのよ。「待って!」って。でも彼は、そのまま行っちゃった。写真が撮れなかったのよ。」「まあまあ、次があるかもしれないじゃないか。彼だって、悪党退治で忙しいんだよ。」

「そうよね。」

メアリーがそう言うと、電話がかかってきた。

「誰かしら?トビアス、ちょっと電話してくるね。食事が来たら、先に食べてて。」

「わかった。なるべく早く済ませてね。」

トビアスに言われると、メアリーは、1階へと下りていった。

メアリーは、あまり人の通らないトイレの前で電話に出た。

「もしもし?」

「・・・」

無言電話だ。

「酷いいやがらせ・・・」

メアリーが言った途端、背後から何者かに襲われた。

声が出せないように口を手で押さえつけられ、気絶させられた。

襲ったのは、構成員だった。

2人がかりで、メアリーを奥へと連れて行く構成員。

「この女どうします?」

「オークションに売り出す。アメリカ人は価値が高いからな。」

構成員の問いに答えたのは、フードつきローブを羽織り、カラスのマスクをつけた男だった。

横からクレイジータイガーが口走る。

「あんたの目的は人身売買か?シンダッコを拉致してやったんだから、縄張り争いに協力してくれよ。」「私に指図するな。お前は私の思う通りについて来ればいい。さもないと、私の部下がお前を蜂の巣にするぞ?」

「わかったわかった。俺はあんたには指図しないよ。あんたが何者か、よくわかったからな。ところで、ハヤブサ坊主は放っておくのか?」

「ファルコンマンのことか?見つけ次第捕らえろ。絶対に殺すな。」男は、そう言い残し、奥の部屋へと入っていった。

一方、トビアスは、カツ丼を食べながら、メアリーの帰りを待っていた。

「遅いな・・・」

トビアスは1階へと降りてゆき、ロドリゲス刑事のもとへと向かった。

「刑事さん!メアリーが帰ってこないんだ。」

「奴らが動き出したか・・・」

ロドリゲス刑事は、店の奥へと向かう。ついて行くトビアス。

「君はついてくるな。危険だ。何が起こるかわからん・・・」

「じゃあ、僕は警察に通報してくる。」

トビアスは、そう言って出口へと走っていった。

「あの男・・・正気か?」

ロドリゲス刑事は、銃を取り出し、事務室らしき場所へ潜入した。

入っていくにつれ、バンドの音楽が消えていく。

ロドリゲス刑事は、警戒しながら進んでいく。

誰も居ないようだ。気配が無い。

さらに進んでいくと、ベッドに人が倒れているのを発見した。

ゆっくり近づくと、女性だった。

ロドリゲス刑事は、女性を起こす。

「メアリーか?」

「ここはどこなの!?あなたは?」

「私は刑事だ。助けに来た。もう安心するんだ。」

彼女を起こそうとすると、クレイジータイガーと構成員たちが戻ってきた。

「逃げるぞ!私の手を離さないで!」

メアリーの手を握って、走り出すロドリゲス刑事。

途中で目撃する、レイの死体の入った袋・・・目を当てられないメアリー。

彼らはメアリーを殺しては意味が無いためか、彼らは銃を撃って来なかった。

客たちが居る店内へと出てくると、何者かがいきなり銃撃してきた。

混乱して、逃げる客たち。

周りを見渡しても、撃ったのは構成員たちではなかった。

制服警官だ。

彼らは悪徳警官だった。

メアリーと共に身を隠すロドリゲス刑事。

ロドリゲス刑事と制服警官の銃撃戦になる。

そのとき、店の入り口から、ファルコンマンが登場。

ファルコンマンは銃を撃ってくる制服警官を殴って気絶させると、ロドリゲス刑事とメアリーのもとへと向かう。

「ファルコンマン!」

メアリーはファルコンマンに抱きついた。

「もう大丈夫。」

彼女を安心させるファルコンマン。

「ロドリゲス刑事。彼女を安全な場所へ!」

「わかった。」

ロドリゲス刑事はメアリーを連れて、店を出ていった。

2人を逃がし、クレイジータイガーの方へと体を向けるファルコンマン。

クレイジータイガーは言った。

「また会ったな、ハヤブサ坊主。俺の店をグチャグチャにしやがって。責任は取ってもらうぞ。」

「やだね。あんたらのような犯罪者にペコペコするような俺じゃない。」

「なかなかいい度胸してるじゃねえか。てめえら、八つ裂きにしちまえ!」

クレイジータイガーは、構成員たちに命令した。

刀を装備する構成員たち。

構えるファルコンマン。

(あのときの修行を思い出せ・・・)

心の中で自分に言い聞かせる。

構成員のうち1人が奇声をあげて襲いかかってきた。

すかさず刀を避け、顔面にハイキックを喰らわせる。

構成員たちは、回り込み、ファルコンマンを囲んだ。

奇声をあげ、今にも襲い掛かろうと、刀を構える構成員たち。

ファルコンマンは落ち着いて、彼らの様子を窺う。

不意に襲ってきた構成員の刀を奪い、投げ捨て、蹴り飛ばす。

それと同時に襲ってきた他の構成員も素早く投げ飛ばした。

雑魚を倒したファルコンマンは、クレイジータイガーと対峙する。

「なかなか鮮やかだ。武器を使わずに倒すとは。でも、この俺は倒せない!」

刀で突進するクレイジータイガー。

ファルコンマンは、すかさず避け、背後に回ってキックで反撃する。

「この野郎!」

容赦なく刀を振り回すクレイジータイガー。

それを避けるファルコンマン。

彼ら2人の戦いに、マスクの男が飛び込んできた。

目にも止まらぬ素早さで、キックを仕掛けるマスクの男。

ファルコンマンは吹っ飛ばされる。

起き上がったファルコンマンは言った。

「卑怯だな・・・2対1なんて。」

なおも襲い掛かるマスクの男とクレイジータイガー。

いつの間にか戦いはファルコンマンとマスクの男の戦いになっていた。

圧倒的な格闘術で、翻弄されるファルコンマン。

このままではキリが無いと、腕につけられたボタンを押す。

一方、ノーラン邸地下のガレージでは、ジェットポーターのライトがぽつぽつと点滅していた。

発進音をうならせるジェットポーター。

その音を聞いたサムが、ガレージに下りてきた。

「お目覚めか・・・」

彼がつぶやくと、ジェットポーターは物凄いスピードで、無人走行した。

街を走るジェットポーター。

ハンバーガーショップの前で、遊んでいる子供たちが、走っていくジェットポーターを見て、

「すげえ!」

「かっこいい!」

と騒いでいた。

ジェットポーターは、日本料理店を突っ込んで、ファルコンマンの前で停まった。

ジェットポーターに乗るファルコンマン。

それを追おうとするクレイジータイガーとマスクの男。

しかし、ファルコンマンは猛スピードで、走り去っていった。

入れ違いに、警察が銃を構えて侵入。

「動くな!逮捕する!」

マスクの男はフックショットを放って逃走。

「この野郎!裏切るんじゃねえ!」

取り残されたクレイジータイガーは、刀を落として、警察に逮捕された。

一方、ロドリゲス刑事とメアリーは、路地裏に逃げていた。

「もうすぐ警察が来る。」

ロドリゲス刑事がメアリーに言ったとたん、ファルコンマンの乗ったジェットポーターが到着。

「速いな・・・彼女は君が連れ帰るのか?」

「ああ、家まで送る。」

「わかった。気をつけろ。彼らは何も知らずに君を逮捕しようとしている。油断するな。」

「了解。」

ファルコンマンはメアリーをジェットポーターに乗せ、走り出した。

それを見送るロドリゲス刑事。

「ありがとう。ファルコンマン・・・」

ジェットポーターを警察車両は追跡していた。

「改造車両、停まりなさい!車から降りるんだ。」

警察の忠告を無視し、さらにスピードを上げるファルコンマン。

「掴まって!」

メアリーに言うと、物凄いスピードで、住宅街へと走る。

警察の追跡から逃れ、裏路地にジェットポーターを停めるファルコンマン。

「じゃあ、僕はこれで・・・」

メアリーを降ろして、別れを告げようとする。

「待って!」メアリーが止め、顔を向けるファルコンマン。

「あなたはどうして、あたしが危ないとこだったのを知ってたの?」

そう言われ、ファルコンマンは少し考え込むと、

「トビアスから聞いたんだ。」と言い残し、走り去っていった。

「肝心なときにカメラ忘れちゃった・・・」

去っていくファルコンマンを見送りながら、彼女はつぶやいた。


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