チャプター13 有名人
翌朝。
ノーラン邸。
トビアスは疲れて眠っていた。
「いつまで寝てるんだ。ファルコンマン。動画サイトにもアップされて。有名人になりよって。」
サムにたたき起こされた。
「僕は獲物探しで疲れてるんだ。寝かせてくれよ・・・」
トビアスは起き上がろうとしない。
「可愛いお客さんが来てるぞ~」
サムはトビアスの耳元で囁いた。
「ホントに!?」
トビアスは飛び起きると、シャツを着て、部屋を出た。
開かれたドアのところにメアリーは居た。
「ハーイ。凄い豪邸・・・」
彼女はトビアスに挨拶した。
「ああ、まあね。ところでメアリー、どうしたの?何か用かな?」
「明後日、お寿司食べに行かない?」
メアリーの方から食事を誘われ、ドキッとするトビアス。
「明後日?どうして僕なの?彼氏は?」
「レイのこと?仕事が忙しいんですって。彼、新聞社であたしよりも上司だから。一緒に来てくれる?」「いいよ。絶対に行く!楽しみだね。」
「ええ。あたしも楽しみにしてるわ。ところで、あなた新聞読んだ?」
「いや・・・読んでないけど。」
「ファルコンマンよ。」
「ああ、それならネットで観たよ。彼、かっこいいよね。」
「彼の写真を撮ったら、報酬が弾むらしいのよ!」
「それはよかった。君の両親も喜ぶよ。」
「写真を撮ったら、あなたにも見せてあげるわ。」
「ありがとう。楽しみにしておくよ。」
「じゃあね。」
メアリーはドアを閉めると帰っていった。
トビアスが部屋に戻ろうとすると、サムが傍に来て言った。
「モテモテ君だな。」
サムに肩を叩かれたトビアスは、頬を赤らめた。
「照れよって。ファルコンマンは悪党には強いが、女の笑顔に弱いな。」
サムは笑って、トビアスに絡んでいた。
警察署では、麻薬捜査官数名と、ロドリゲス刑事が話しあっていた。
「何がファルコンマンだ。ただのコスプレ男じゃないか。」
「変なのが現れたよな・・・」
麻薬捜査官数名は、馬鹿にした態度でファルコンマンを批判していたが、ロドリゲス刑事は、真剣な顔で話した。
「確かに彼は無法者ですが、役に立たないということは無いと思います。彼は我々よりも行動が早い。」「君はヒーロー否定派では?」
「そうですが・・・」
ロドリゲス刑事は、若者たちの前ではファルコンマンを敵視する仕草を見せていたが、本心は、ヒーローを必要としていた。
ドレイクシティの犯罪率は、高くなる一方であるため、この状況を変える抑止力として、救世主を誰よりも強く求めていた。
同じ時間。メアリーは仕事を終え、電車に乗っていた。
駅に着き、電車から降りて、人通りの少ない路地を早足で歩いていると、物陰から2人のホームレスが襲ってきた。
「おい、姉ちゃん。金をよこせよ。」
「体でもいいぜ。」
と言って近づいてくる。
バッグを振って抵抗するメアリー。
そこにファルコンマンが登場。
ファルコンマンはホームレスを背負い投げで倒し、殴ってくるもう1人の腕を掴み、ねじると、気絶させた。去ろうとするファルコンマン。
「待って!」
メアリーは慌ててカメラを出そうとするが、ファルコンマンは、「夜道は気をつけるんだ・・・」と言って、走り去っていった。




