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君以外の人って・・・

次の日、登校直後から私は異変に気がついていた。


なんだかクラスメートの視線が今日はやたらと気になるのだ。


いつもはみんな私の存在なんて無視しているはずなのに、


今日は私を盗み見てはコソコソ話をしているような、妙な雰囲気が漂っている。


何だろう・・・・。


落ち着かない。


朝のHRの間もずっとそんな空気で、担任が連絡を終えて


教室を出て行った後、私はすぐに女子トイレに避難した。



1限目、2限目・・・。



授業を受けている間は妙な感覚はなかったから、私も自然と


朝感じた違和感は自分の気のせいだったのだと思うことにした。


だって、昨日の今日で私がしたことなんて特に何もないし。


昨日の体育での出来事だって、気がついたのはおそらく私だけだったはずだ。


だから、何もないはず・・・・・・・・・




・・・・・・あれ?私、何か忘れてる気がする。



「沢村ぁ!ぼーっとしてるとあてるぞっ。」


「!」


古典の授業は眠くなる生徒が多いだけに、教師も厳しいのだ。


うっかり考え事に没頭し過ぎてたみたいだ。


反省。


4限の終了を知らせる鐘の音がなると、皆先を争うように教室から出て行く。


私は机の上を片付けると、さっそくお弁当箱を取り出した。


まだ教室にいる他の生徒はおしゃべりしたり、


授業の質問を聞きに行ったりと楽しげだ・・・。


私には食べる以外特にすることもないので関係のない話なのだけれど。


「ねぇ、これやばいよね。どんだけ巨乳だよっ。」


「まじでムッチムチ!きもっ。」


すぐ後ろ辺りで交わされている会話の内容が、なぜか今日は耳につく。


一体誰のことを言っているのか・・・。


「この写メ、誰が撮ったの?」


「ほら、えりなだよ。」


「あぁ、えりなかぁ。へぇぇ、凄いね。こんな至近距離で。」


「あいつ肉にふさがれて耳聞こえてないんじゃないの?

 

 えりなも言ってたけど、撮ってしばらくしてから


 こっち振り向いてキョトンとしてたー、って。」


そう言ってクスクス笑い合っている。


なんだかその話、身に覚えがあるような気がする。


もしかして、今の今まで忘れてたけど、彼女達がしている話って


昨日の更衣室での・・・・・?



私がおそるおそる振り返ると、今までおしゃべりしていた女子達が


「しまった!」「やっば、こっち向くなよ。」


とかなんとか言いながら、わざとらしく視線をそらす。


やっぱり、今までの内容は全部私のことを話してたみたいだ。


じゃあ、昨日の更衣室でのシャッター音は気のせいではなかったのか・・・。


しかも目をそらした女子達は昨日更衣室にいた子達とは


別グループの子達のはずだ。


彼女達の手にしている携帯。


もしかしなくても、昨日撮られたと思われる写メは


彼女達曰く「えりな」という子から色んな子達に回されているようだ。


それとも、女子のみならず無差別に流されているのかも・・・。


そうだとしたら、今朝から男女問わず感じていた違和感の正体にも納得いく。


いや、おそらくそうだろう。


もしかしたら、他のクラスの生徒の携帯にも・・・・・?


ここまで考えが及んだところで、突然激しいめまいを感じた。


同時に恥ずかしさが、へその辺りから喉元までぐんぐんせり上がってくる感覚。


もうお弁当を食べ続ける気になんてならない。


今はただ、教室から出て誰の目もない静かな場所へ行きたい。


それだけ思って、私は広げたお弁当もそのままに教室から飛び出した。


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