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君は誰?

どこか、誰も私を知らない場所へ飛んでゆけたらいい。

ここから見える青空の向こうへ。誰も私のことなんて知らない、新しい世界へ。

今ここから飛び立ち自由を手に入れた、あの鳥のように。


私、沢村純さわむらじゅんは今年高校2年生になったばかり。

彼氏いない歴=年齢、髪の毛は猫っ毛の黒色、眼鏡のデブ女。

友達は小学校卒業後まだ一回もできてない。だって誰も話しかけてくれないから。

別に私が特別何か悪いことをした訳じゃないけど・・・。

結局こんな根暗ブスに誰もわざわざ声かけようなんて思わないだけ。単にそれだけ。


キーンコーンカーンコーン


そんなことをつらつら考えていたら、もう予鈴が鳴ってしまった。

ちなみに私がいたのは学校の女子トイレの個室。今のは昼休みの終わりを告げる、予鈴の音だ。


昼休み、みんなが楽しくおしゃべりしながらお弁当をつつき合うのを尻目に

私はいつも一人もくもくと食べる。それはまるで何かの作業みたいだ。

唯ひたすら自分の口にお弁当の中身を詰め込み、咀嚼し、飲み込む作業。

もちろん味なんて全然分からない。

だからか私がお弁当を食べ終わるのがクラスで一番速くて

食べ終わった後には何もすることがないから困る。

読書でもすれば良いんだろうけど、読んでる間中ずっと周りの楽し気な話し声が

耳に入ってくる、ってのも結構な苦痛なのだ。まあ、平気な人もいるんだろうけどね。

少なくとも私には耐えられない。

だからいつも食べ終わったら、私はすぐ女子トイレに行って

そのまま休み時間の終わりまで個室で読書か、ぼーっと考え事をするか。

とにかく一人の空間を確保したいのだ。

たまにクラスの女子が連れ立ってトイレに来るし

彼女達も私がトイレの一室の主になってることは知ってるんだろうけど

あえて干渉してはこない。

漫画でよくあるようなあからさまな嫌がらせは

こっちから向こうに関わらない限り起こらない。


と、まあそんな訳で今日も無事昼休みを乗り切ることができたみたいだ。

確か次は教室移動だったよなぁ、なんてことを思いながら私が女子トイレを出た時のことだった。


「!!!」

「っっひぃ!」


女子トイレを出てすぐ右横の廊下、誰かが壁にもたれて座り込んでいた。

あやうく蹴り飛ばしそうになってしまい、妙な叫び声をあげてしまったのだ。

もちろんこっちもびっくりした訳だが、それは向こうも同じ。お互いしばらく見つめ合う形になる。

相手はたぶん同学年の男子生徒だ。ゆるい癖毛に割と色白なすっきりとした顔立ちで

なんだかすばしっこそうな印象。猫みたいな子だ、と思った。




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