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俺の愛した黒髪  作者:
1/1

髪の持ち主

なんの構成も考えず、適当に書いてます(苦笑。

拙い、また簡単にオチの読める話となりそうですが、よろしくお願いします。

 黒い髪がサラリと流れた。この暑い時期には暑苦しく見える女子の長髪。束ねていないと尚暑苦しい。だが、彼女の場合はそう思えなかった。

 窓からの日光で髪が光沢を放ち、輝く。すっと締まっていて、どこか神々しくも思えるような美しい髪。ここは本当に学校の廊下か? こんなところに女神が持つかのような髪の人間がいていいのか? そう思えるほどだった。

 俺はその髪が好きだった。

「……何?」

 キッと鋭い目で睨まれる。矢嶋由香里(やじまゆかり)。俺の好きな髪の持ち主だ。白い肌が黒髪を際立たせている。また大きな目の持ち主でもある。白目の面積が多いから、睨みの凄味がはんぱじゃない。

 だが、こいつに睨まれるのにも慣れてしまった。

「は? 何が?」

 涼しい顔でそう答えると、彼女は嫌悪の感情で俺をじっと見、髪をマントのように翻して立ち去った。

「よぉ、和久田の旦那」

「……あ?」

 軽々しく話しかけてきたのは友人の大輝(だいき)だった。

「まーだ狙ってんの? 悪鬼姫様を」

 そう言って俺の肩に腕を回してくる。……暑苦しい。

「そんなんじゃねーって」

「馬鹿。俺を騙せるとでも思ってんのか? お前って隙があればいつも矢嶋のこと見てるよな」

 くっ…。返す言葉が無い。勘違いをされていることは確かだが、確かに俺は機会があればいつもあの髪を見ている。いや、髪が俺の視線を引き寄せてるような……。

 やめだ。馬鹿馬鹿しい言い訳をするのはよそう。

「あの女だけはやめとけ。顔は綺麗かもしれねえが、性格は最悪だぜ? 暗い上、怖い。薄気味悪い。一人で図書室は当たり前だ。あいつがなんの本読んでるか知ってるか? 怪奇とか拷問とか……ぶっそうなもんばっかだ。それに、告った奴らがなんて言われて玉砕したか知ってるか? 『私のためにヒトミゴクウになってくれる?』だと。意味分かんねえ。イカれてるぞ。顔だけ見るんじゃなくて、もっとしっかり考えろよ」

「いや、俺はあいつの……」

 漫画のようなタイミングで昼休み終了のチャイムが鳴った。廊下に出ている生徒はみんな、教室に戻るために慌ただしく動き出す。

「おっ。俺らも戻るぞ」

「……あぁ」

 俺はなんとなく矢嶋が立ち去った方向を見てから、教室へ戻った。

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