第3話
「すごかったよな。学園長の演説」
「正確に言うと演説ではないのだが、上手かったのは確かだな」
「そんなに良かったのか?」
入学式が終わり休憩の時間。
オレは友人たちと話していた。
いや、友人と言うよりは悪友と称した方がいいかもしれない。
「キラ、お前まさか寝てた?」
笑いながらそう言ったのは、フローレンス・サルサ。
水色の髪に両耳ピアスで、いかにも不真面目そうな奴だ。
実際真面目とは程遠い性格をしていて、いたずらばかりしている。
まぁ、根はやさしいんだけどな。
女子にもてるために様々な努力をしてるけど、何1つ功を奏したことは無い。
顔自体は悪くないのに、不思議な話だ。
「長い話なんて聞いてられないって」
「そう言うな。なかなか有意義な時間だったぞ」
そう言って勝気な笑みを浮かべているのはリックマン・ケールニッヒ。
黒色の髪と瞳で背も高いが、自称今世紀最高の奇人であり変人であり天才だそうだ。
とにかく可笑しな考えを持っていて、独創性では他の追随を許さない。
ハッキリ言ってあまり関わりたくないんだけど、どうして仲良くなってしまったんだろう?
自分でもよく分からない。
誰か分かる奴がいたら教えてくれ。
「あの掴みを取ってからの本題への入り方。是非俺も見習いたいものだ」
「………リック、お前は話し方を褒めているのか内容を褒めているのかどっちなんだ?」
「そんなの話し方に決まってる。あんな内容くらい誰だって考えつくさ。むしろ俺が考えた方がハイレベルだな」
「ハイレベルって、どうせろくでもない事だろ」
「むっ、同志アーハルトよ。その言葉は聞き捨てならんぞ」
「オレがいつお前の同志になったよ………」
オレは呆れた様に溜息を吐くと、やれやれと首を横に振った。
リックとの付き合い方はもう分かっている。
絶対に真面目に話を聞いちゃいけないんだ。
話しを聞くだけ時間を無駄にする。
それがこいつと付き合う上でオレが出した結論だ。
「いいか、俺が学園長の立場だったらな」
「はいはい、分かった分かった。それよりも、準備をする間休憩って言ってたけど、何の準備をしてるんだ?」
「さぁ?さっぱり分からん」
フローが自信満々に言う。
「確か、魔法の適性を調べるための魔法陣を書いてるのではなかったか?かなり大がかりな魔法故に時間がかかると聞いたことがある」
「そうなのか?時間がかかるなら前から準備しておけばよかったじゃん」
「そう言う訳にもいかんだろう。大きな魔法であれば持続しておくための魔力も相当いるだろうからな」
「へぇ、そう言うもんなんだ」
オレは簡単な魔法しか使ったことが無いから、大量の魔力を消費したことが1度も無い。
自分の魔力の量も知らないし、そう考えてみるとオレの知らない事って多いんだな。
「入学生の皆さん。ただ今魔法陣の準備が終わりました。ただいまより魔法の適性を調べますので、男子生徒は東の部屋へ。女子生徒は西の部屋へ入ってください。繰り返します………」
3人で話していると、そんな放送入った。
気付けば休憩になってからもう20分以上経っている。
適性を調べる魔法って、ホントに大がかりななんだな。
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