メシア
何年間も付き合って来た彼氏にふられた彩子。
そんな彩子がハプニングにあい、いきなり美男子に求婚される
結婚の約束をしていた彼氏にふられて、いつものバーでやけ酒飲んでたら、
ぶっかけちゃった。お酒。知らない人に。
高そうなスーツ。まずったなと思いながらも、
「すみません。クリーニング代出します」
と私。
「大丈夫です」
と彼。
「どうしてもって言うなら、俺と結婚してくれませんか?」
そんな唐突に言われてびっくりし過ぎて、
なぜに、この美男子が私と?
と思った。当たり前だよね。
そうしたら、彼
「俺、素晴らしくモテないんです」
「どうしてですか?」
「家系を言うとすぐふられるんです」
「家系?」
「俺のご先祖様、昔、尿、便の掃除をしていたんです。その偏見があるみたいで。
つまり、家系が悪いんです。あなたはそんな事、気にしないように思えたので」
「彩子さんは知らないと思いますが、俺、よくこのバーに来ているんです。
それで、彩子さんがマスターと話しているのを聞いて、いい女性だと思ったのです。
つまり、惚れたんです。」
ええ?そんなふられた翌日に彼氏・・・いや、結婚相手が見つかるなんて事ある?
しかも名前・・・私の名前知ってる・・・
私はビビビと来た。
よく言うけど、私のセンサーが反応したの。
よっしゃあ!
このまま波に乗るぞ!
「いいですよ。結婚しても」
「ならばこれを受け取ってください」
私は、それを見て口が開きっぱになった。
店内の客の視線もこっちに集中している。
店のスタッフの視線も。
だってさ・・・だってこの指輪何カラット?
指がダイヤで隠れるんですけど!
私が放心していると
「帰りませんか?」
そう言って、赤いスポーツカーに私を案内した。
そして、彼の自宅に着いた。
彼の家はとても広くて、またビックリした。
「ああ。それから・・・」
「何ですか?」
また来るならどんと来い。
私は構えた。
すると
「俺は性欲ゼロです。マイナスと言ってもいいでしょう。今まで黙っていたのはズルいですね。すみません」
私はそれを聞いてガックリしてしまった。
だって、私は三度の御飯より、エッチが好きなのに・・・。
何で満たせっての?
エロ漫画?
指輪受けとっちゃったし・・・言いづらい・・・。
「BUT」
いきなり英語?
「四年に一度野獣になります」
なにそれ?オリンピックじゃん
「じゃあ、野獣になったのは直近では何年前なの?」
「四年前です」
万歳!オリンピック開催!
「今年じゃん」
「そうです。彩子さんと営めると思います」
「何、ニヤニヤしているんですか?」
「いやあ~。私、ドスケベだから」
「心配ご無用です。俺の上を行くドスケベ女に会った事がありません」
なんなの?そのフォロー?
そう言えば、この人、なんて名前なの?
私、名前も知らない人と結婚しようとしてたなんて!
「泉 陸 と申します」
いきなり名乗ってきた。
私の回線この人掴んでる?
ちょっとビビる。
「陸さん」
「陸でいいです」
「陸・・・。私のどこがいい女性なの?」
「ああ。それですか。彩子さんは、いい思考回路をしていらっしゃいます」
「思考回路・・・」
「考え方が実に独特なんです」
「そう・・・ですか」
私は反応に困った。
「彩子さんは、どうして俺との結婚を承諾して下さったのですか?」
「・・・面食いだから」
そう言うと、陸はゲラゲラ笑った。
「正直ですね!彩子さんは気持ちがいいくらい正直だ!」
ほめられているのかな?私。
そして、盛り上がった四年に一度のオリンピック開催は無事閉幕し、
それから私たちは、彼の希望でエジプトで結婚式をあげた。
ピラミッド。
スフィンクス。
ん~いいねぇ。ロマンがあるね。
「いま、俺はエジプトに土地を所有しています。そしてそこでピラミッドを作っているんです」
え?そんな事して大丈夫なの?
「彩子さんも死んだら、ピラミッドに入ってください」
え?強制?
「生まれた子供にはメシアと名付けます。つまり、救世主です」
ええ?なんか頭、いっちゃってない?大丈夫なの?この人?
2012年に生まれた、私たちの娘を本当にメシアと彼は名付けた。
メシアが守ってくれているから、世界は滅亡しなかったんだと言って聞かない。
熱くなっている彼を私はたしなませた。
ここまで読んで下さってありがとうございました。




