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ぽんこつ可愛いアイドルは、妹として愛されたい  作者: 日々一陽
第一章 アイドルはファンのみんなが恋人です

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2/13

02話 プロローグ(2)

話数間違えてたので修正しましたm(_ _"m)



 全部が最高の女の子だ!

 拓海の目にはそう映る。


 端正な小顔、桜のような唇にくりっと大きく印象的な瞳。さらり(なび)く濡れ羽色の髪に白く長い手足で魅せるダンスはしなやかなのに元気いっぱい、可憐な声も相まって愛おしくて仕方がない。まだ一緒に住んで一日だけど普段も明るくて優しくて、喋りだしたら止まらない、自称ポンコツな一面もあるけれど、そこもまた可愛らしい――


「ホントはね、不思議なんです。こんな私が一番だって言ってくれること。あ、少しは自信ありますよ。私だってアイドルですからね。でも綺麗な人っていっぱい居るじゃないですか! アイドルさんってみんな可愛いじゃないですか! それなのに私が一番だって言ってくれるの…… どうしても素直に信じられないんです」


「歌もダンスもルックスも全部最強だよ!」

「全肯定なお世辞ありがとうございます。でも、お家では本当のことを言ってくれてもいいんですよ? 私、歌もダンスもルックスも大したことないってちゃんと自覚してますから」


「そんなことない!」

「百歩譲ってそうだとしましょう。でもね、歌とかダンスとかルックスとか、そんなのが良い妹の必須条件でしょうか?」


「え?」


 小さく声を漏らした拓海に、眞名は人差し指を立てて畳みかける。


「例えばです。逆に考えてみましょう。私にとって最高のお兄ちゃんとは、私の話を優しく聞いてくれて、お米の量を間違えて超大盛りになってしまったお料理も美味しいよって残さず全部食べてくれて――」

「間違えたのか?」


「宿題が分からなくて困っていたら手取り足取り教えてくれて、寒い夜には子猫のように私のお布団を温めてくれて――」

「おい、それは絶対しないからな」


「冗談に決まってます。お休み前の熱いキスで体はもうぽっかぽかですから」

「し、しないからな」


「もうもう~っ、ライブでは絶対結婚しようなっ! って叫んでくれるじゃないですか!」

「あれは応援の定型文なだけで……」


「分かってますよっ!」


 唇を可愛くへの字に曲げると、眞名は自分のオムライスに手を付ける。


「本当は――」


 一気に半分ほどオムライスを食べた眞名は、スプーンを置いて息を整えた。


「昨日私はお兄ちゃんにたくさんたくさんお願いをしました。外では他人のフリをしてくださいとか、家ではお話をいっぱい聞いてくださいとか、一緒に住んでいることは絶対秘密にしてねとか、宿題やお勉強を毎日教えてくださいだとか、もし赤点取ったらお兄ちゃんの所為にしますよとか、本当の妹みたいに呼び捨てで呼んで、本物の家族みたいに優しくして、でも駄目なことはちゃんと叱って欲しいとか、私以外の妹を外に作っちゃダメですよとか、全部私のわがままばかり。だけど、お兄ちゃんは全て受け入れてくれて、私には何ひとつ要求しませんでした。ひとつくらいわがまま言ってくれてもいいのに、ちょっとくらい私に甘えてくれたっていいのに、全部笑顔で受け入れてくれるだけでした。だから決めたんです。私、小倉眞名は界隈で最高の妹になるんだって!」

「界隈って……」


「アイドル界隈です」


 呆気にとられる拓海に向かって成長乏しい胸を張ると、眞名はオムライスを満足げに頬張った。

 拓海は少し考える。


「――でもさ、妹と言ってもひめとは――」

「眞名ですっ!」


「その、僕たち血は繋がってないから……」

「血の繋がりは無くても間違いなく兄妹です!」


「それは確かにそうだけど、カモミーユ公式のプロフィールには兄弟いないって書いてるし」

「あれは大失敗でした……」


 カモミーユの公式HP。眞名はプロフィールの欄に自分自身を「ひとりっ子」と紹介している。普通、妹や弟が新たに産まれることはあっても、お兄ちゃんが産まれることはあり得ない――


「めんどくさい妹でごめんなさい。私はアイドルだからお兄ちゃんの恋人にはなれません。お兄ちゃんだけじゃなくって他の誰とも恋に落ちることはありません。アイドルはファンのみんなが全員恋人ですから! そう私は本気で思ってます。それは、こんな私なんかを推してくれる大切なファンに対する私の責務です。だけど――」


 真面目に正論をぶちかます眞名。口を結んで席を立ち、居間から繋がるキッチンへ入る。冷たい麦茶をコップに注ぐと、ひとつを拓海の前に置き、もうひとつを自分で一気に飲み干した。


「だけど私は妹です!」


 コップを机に強く置くと握りこぶしを振り回し力説を再開する。


「妹って聞いたらドキドキしちゃうでしょ? デートしたいって思うでしょ? ラブレター書きたくなるでしょ?」

「ならない」


「いま目の前にいる、この可愛い生き物が妹なんですよ?」

「それは認めるけど」


「ドキドキしませんか?」

「それは妹だからじゃなくって……」


「妹だからですっ! 兄と妹は赤い糸で結ばれた特別な関係なんですっ!」


 大きな瞳を輝かせ、スプーンを高らかに掲げて宣言する妹。


「赤い糸って普通は恋人との間で――」

「お兄ちゃんと妹も赤い糸で結ばれてるんですっ! 妹だって特別なんです!」


「言ってることが支離滅裂だぞ?」

「どうして分かってくれないんですか?」


「分かるも何も……」

「もう、お兄ちゃんのばかっ!」


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