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ハズレ女神と最弱ヒーラー。〜〜アラサー転生者、冒険、青春、ほんのりチート。妹、イケメン化、時々ハーレム  作者: 白井 緒望


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第44話 姫の封印。

 

 「炎の魔法は使えるか?」


 リリスは首を横に振った。

 まぁ、そうだよね。


 「それにしても、あの攻撃で無傷とかおかしいでしょ……」


 俺が頭を抱えていると、肩に担いでいたルナが暴れ出した。


 「どうしたんだ?」 


 俺の問いに、ルナはさらに手足をバタバタした。


 「わらわをお•ろ•せ!!」


 「……わかったよ」


 ルナを下ろすと、何故か涙目だった。

 耳を真っ赤にしている。


 改めてみると、吊り上がった目尻に海のように深い碧眼が美しい。ルナは、リリスやアイシャとタイプは違うが、かなりの美形だ。


 それにしても、なんで真っ赤になっているのだろう。まるで、裸でも見られたような顔をしている。



 「障壁だな」  


 脈絡なくルナはそう言った。


 「障壁?」


 俺が聞き返すと、ルナは口を尖らせた。


 「そうだ。あれだけの魔法で無傷なんておかしいと思わぬか?」


 たしかに、そうかも。

 だからと言ってどうしようもないが。


 だが、少なくともルナは、俺よりは障壁というものに詳しそうだ。


 「それって、解呪でどうにかなるの?」


 「呪いじゃないから、どうにもならんな。わらわの封印が解ければ、少しは手伝えるのだが」


 封印?

 なに? この子。


 厨二病なの?



 ジャラ。


 ルナは手首に巻かれた鎖をこちらに向けた。


 鎖は施錠されていて鍵穴の上にはサイファの聖印が刻印されている。


 正直、ルナの話を鵜呑みにするのは不安だ。


 だが、最大火力のリリスの攻撃が効かない現状では、他に有効そうな方法はない。


 俺が迷ってると、ルナが前髪を上げた。

 碧眼の瞳孔が猫のように細くなった。



 「賭けてみるか」


 リリスとアイシャも頷いた。


 俺らは、ルナの話に賭けることにした。



 俺は審問官の死体に視線を向けた。


 「それの鍵って、審問官が持っていたの?」


 だとしたら、あの残酷死体から見つけないといけない。だが、ルナは首を横に振ると、アゴで祭壇の方を示した。


 「いや、さっきの……シャーマンがもっていたぞ」


 俺も祭壇の方をみると、ゴブリンヒーローの奥になにやら光っているものがある。どうやら、鍵のようだ。


 鍵までは、ここから20メートルと少し。


 俺たちは通路側で、その中間にゴブリンヒーローが仁王立ちしている。



 俺はゴブリンヒーローを見上げた。

 

 走れば数秒。


 だが、アイツに殴られて即死だろう。


 ゴブリンヒーローを突破するために、ゴブリンヒーローの向こう側の鍵を持ってこなければならない。


 ……矛盾だ。


  

 ルナは言葉を続けた。


 「あのヒーローとやらは会話するではないか。なんとかなるやも知れぬぞ?」


 俺は改めて、ゴブリンヒーローの方を見た。


 あの子、生まれて初めての言葉が「人族、根絶やし」でしたよ? そんな子に相手に人族の俺がコミュニケーションできるとは思えないのだが。 


 俺はリリスとアイシャを交互に見た。


 リリスはさっき雷槍をぶっ放してたし、ファーストゴブリンを爆破した。


 交渉役はアイシャの方がまだマシか。


 俺はアイシャに耳打ちした。


 「……と、いうことでお願い」


 アイシャは目をパチクリさせた。

 そして、頬を膨らませた。


 「……本気ですか? この埋め合わせは絶対にしてもらいますから」


 アイシャよ。

 いつも嫌な役回りばっかりで、ごめん。



 アイシャは、ゴブリンヒーローに近づくと、1メートル程の岩に飛び乗り、ヒップを振って耳元に垂れた横髪を咥えた。


 「あの。ゴブリンヒーローさま。わたし、本当は人族といるのイヤなんです」


 いくらゴブ相手でも、この作戦には無理があるか?


 ……。


 しかし、ゴブリンヒーローは、身体をアイシャの方に向けると、アイシャの視線の高さ近くまで、腰をかがめた。


 「ほほう。サキュバスの娘よ。ワシになにか用事か……?」


 興味を持っている。

 身体はデカくても、中身はゴブリンということか。


 ゴブリンは無類の女好きな種だ。



 ゴブリンヒーローの視線が俺から外れた。

 今のうちだ。


 俺は足音をさせないように、つま先で歩く。

 そろりそろり……。


 もうすぐゴブリンヒーローの背中側に入る。



 「あの。実は。ゴブリンヒーローさまの花嫁の座はまだ空いていますか?」


 ゴブリンヒーローの図体でアイシャの様子は見えないが、頑張ってくれているようだ。


 俺は細心の注意を払いながら、歩き続ける。

 ようやくゴブリンヒーローの真後ろに到達した。


 ゴブリンヒーローまでの距離、1メートルほど。巨体の体温で蒸し暑く、獣のような匂いが鼻につく。


 あと、少し。

 あと少しで、ゴブリンの向こうに抜けられる。


 向こうにいってしまえば、後は鍵を拾ってルナに届けるだけだ。


 あと、少し。


 緊張で心拍が跳ね上がる。

 互いに息を吐く音が聞こえてしまうほどの距離。


 俺は息を止めた。


 

 その時。


 「キキキッ」


 俺が元いた場所から、ゴブリンの鳴き声が聞こえてきた。



 「ん?」


 異変に気づいたゴブリンヒーローの背中が、ググっと、声の方向に動いた。


 やばい。

 俺がいない事に気づかれる。

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