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ハズレ女神と最弱ヒーラー。〜〜アラサー転生者、冒険、青春、ほんのりチート。妹、イケメン化、時々ハーレム  作者: 白井 緒望


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第43話 燃える髪の姫


 ゴブリンヒーローの眼球がグルンと動いた。

 俺たちの方を睨む。


 沈黙が訪れた。

 逡巡というには長すぎる時間が流れる。

 

 ゴブリンヒーローは、生まれたばかりだ。

 もしかすると、俺たちを認識していないのかも知れない。


 ここは、物音を立てずに……。

 俺たちが、そろりと動き出した時、赤毛の少女が口を開いた。


 「だから、名をなのれ! 失礼だろう」


 「しーっ」

 俺は口の前で人差し指を立てた。


 「あ? あのデカブツを気にしてるのか? あんな知能が低そうな魔物、物の数に入らない」


 この人、ナチュラルに相手を挑発するタイプか。



 その時、時計は動きはじめた。


 ゴブリンヒーローの瞳孔が細くなる。


 「があ!」

 剣を振り回しながら、こちらに走ってきた。 


 巨体とは思えない俊敏性。


 振り回した剣がガンッと洞窟の天井にあたっても意に介す様子はない。


 天井から剥がれた小石が、パラパラと降ってくる。このままでは、この空間そのものが崩落しかねない。


 ドスンドスンドスン。

 足音は瞬く間に大きくなった。


 俺らはゴブリンヒーローを見上げた。

 

 思った以上の巨体。

 石柱のような大剣。


 あんな剣で殴られたら、ひとたまりもない。

 一撃で全滅だ。




 「チッ。ゴブリン風情(ふぜい)が」


 リリスは右手の人差し指を立てた。


 (ここにも口が悪い人がいた)


 杖を身体の前に突き立て、淡々と詠唱を開始する。短縮詠唱だ。

 

 「……顕現せよ魔槍。紫電を纏い、敵を貫け。トニトゥルス•スピア(紫電の魔槍)!!」


 リリスの指のすぐ右横に雷の槍が現れた。


 槍は雷光のようであったが、まるで質量をもつかのように、キーンという音をさせて、回転をどんどん速めていく。


 やがてバチバチとした紫電を纏った。


 リリスの手の動きに合わせて、雷槍がゴブリンヒーローの方に向いた。


 リリスが指揮者のように右人差し指を前に振る。


 ドンッ


 雷槍は紫電をなびかせ一直線に飛んだ。



 直後、落雷のような轟音がした。


 辺りの粉塵が一斉に舞い上がり、ゴブリンヒーローの姿が霞む。


 凄まじい威力。



 ……やったか?


 倒せなかったとしても、無傷ということはないだろう。


 もはや兵器だ。


 『リリスの雷性魔法の威力は元素の魔女並み』と言ったアイシャの言葉。あれはどうやら本当らしい。


 砂埃がおさまると、ゴブリンヒーローの太い足が見えた。



 再び俺達と目が合う。

 瞳孔が開いた。上から見下すような目つき。


 ゴブリンヒーローは、大あくびをした。



 嘘だろう?

 あれを受けて無傷?



 ダダダダダダ。


 背後では、どんどん雑魚ゴブリン達の足音が大きくなっている。


 まずい。

 挟撃される。


 挟まれる前に。

 まずは、目の前のデカぶつをなんとかしないと。


 考えろ。


 あのデカいのだって、ゴブリンだ。

 何か弱点は……。



 ********


 ——日本。

 仕事休みの週末。


 俺は渡貫……イーファとUTSSOで遊んでいた。


 「先輩っ。ゴブ男の弱点って、なんだか知ってますか?」


 イーファのアバターが万歳をした。


 「知らんよ。っていうか、殴った方が早くね?」


 「そ、そうですよね。でも、ウチはゴブ男の生態に興味があるのです。ふむふむ。先輩っ。ウチの調べによると、ゴブ男は、火が苦手らしいですぞっ。って、さっきのゴブリン、松明たいまつを持ってませんでした?」


 「さすがUTSSO。いつもながら、お粗末な設定だ。ゴブリンって色んな種類いるみたいけど、弱点は同じなの?」


 「多少サイズが違くても同じですよ。ゴブですし。と、と、ところで、先輩のおサイズは……? きゃっ」


 ヘッドセット越しにイーファの声が聞こえる。中身と違って、澄んだ声。


 「お前さ、せっかくカッコいいアバターなんだから、少しは自重」


 イーファのアバターは、たしか。

 黒装束のサムライだった。


 「別にいいじゃないですか。UTSSOのスタッフは、タダなんですから」


 「これはある意味、研修なんだぞ? 渡貫の人事評価、減点っと」


 「ひどいっ。パワハラだあ」


 そういえば、あの時も俺はヒーラーだった。今思えば、ただの偶然だったのだろうか。


 

 ********  


 ——思い出した。

 ゴブリンの弱点は火だ。



 俺はゴブリンヒーローを見上げた。


 目は血のように赤くて、口からは立派な牙が2本生えている。


 すごい威圧感だ。


 足に力が入らない。

 俺の指先は震えている。



 ゴブリンヒーローの唇が動いた。


 「小さな者よ。我らゴブリンの積年の恨み……。ころせ、ころせ。人族は根絶やしだ……」


 それは地響きのように低い声だった。


 コイツ、話せるのか、

 もはや、ゴブリンの種を超越している。



 火が弱点。 


 多少の知恵があっても、種族の弱点は変えられない。


 火の攻撃で押し切る!


 俺はパーティーメンバーを見渡した。

 みんな静かに頷く。


 いや、ちょっと待て。

 俺らの中に、火を扱えるヤツはいるのか?


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