表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外れ女神レイピアと最強未満の最弱ヒーラー。〜〜アラサー転生者、冒険、青春、ほんのりチート。妹、イケメン化、時々ハーレム  作者: 白井 緒望


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/35

第4話 剣と魔法と、妹。


 あれから数年後。


 俺は立ったり話したりできるようになった。イーファは相変わらずだが、見た目だけはどんどん可憐に女の子らしくなっていく。


 俺の数えが間違ってなければ、俺たちは7歳だ。


 ある日の朝、俺はイーファに怒鳴られた。


 「イオっ!! アンタ、今日は牛舎の乳搾り当番だったでしょ!? なんでしない訳?」



 「いや、牛の乳のあのムニュっていうのがちょっと。っていうか、イーファは妹なんだし、代わりにやってよ」


 イオというのは俺の名前だ。

 日本での名前は千颯ちはや 伊織いおりだったから、なんとなく響きが似ている。 

   

 イーファは腰に手を当て、人差し指を立てた。


 「はぁ? 代わりにするのがおにいちゃんでしょ? なんでアンタみたいなのが、おにいちゃんなのよ……」


 兄というなら、もっと敬えよ。


 日本で俺は一人っ子だった。

 高校生くらいの時は、妹が欲しかったけれど、実際はこんなにも生意気なものらしい。


 「!!」


 グエッ。

 イーファに蹴られた。


 い、痛くなんてないんだもんっ。


 ヒック……。

 息がうまくできなくなって、視界がぼやけていく。


 「うぇぇぇえーん!!」


 俺が泣くと、イリアが頭を撫でてくれた。


 「うえええ、ええーえー!!」


 俺は嬉しくて、もっと甘えたくなって。

 ……ますます泣いてしまった。


 イリアは、少しだけ困った顔をして、俺を抱き寄せた。


 「今日ね。お昼過ぎにママの妹が遊びにくるの。魔術師なのよ? この辺だと魔法を見る機会はないものね」



 「ええっ、魔法ーーっ?!」

 俺とイーファは同時に叫んだ。


 は? 愚妹よ。

 なんでお前まで目をキラキラさせている?


 それにしても、魔法って。

 ホンマかいな。


 毎日、アレンとアークのチャンバラを見て、ご飯を食べて寝る。ここでの生活は、そんな普通の繰り返し。


 てっきり、この異世界は中世ヨーロッパの下位互換なのかと思っていた。


 しかし、違った。


 俺のイーファが興味津々だったので、イリアが色々と教えてくれた。


 「魔法はみんなが使えるわけじゃないの」


 「じゃあ、誰が使えるの?」


 イーファの質問に、イリアは頭を撫でた。


 「魔法が使えるのは、100人に1人くらいかな。そして、その才能は親から引き継ぐの」


 イリアは俺とイーファを抱きしめて言った。


 「ごめんね。パパもママも魔法使いじゃないから、2人も魔法は使えないかも」


 「でも、ママの妹さんは魔法を使えるんでしょ?」


 「ママの妹はね、イシュタルって言う名前なのだけど、ママとは血が繋がってないのよ」 


 この世界には、どうやら本物の魔法ってやつがあるらしい。つまりここは、日本とはまったく別ルートで進化した、いわゆる“剣と魔法の世界”ってことだ。


 だから、血とかそんな些末なことはどうでもいい。


 イーファは両拳を胸に当てると、声を出した。


 「わたし、魔法を見てみたい!」


 

 あぁ。待ち遠しい。

 早くお昼にならないかな。

 

 ちょっと暇だから、イーファをからかってみるか。ふふっ。今の俺は、鼻ホジしかできなかった頃の無力な兄ではないのだ。


 俺は、イリアの手伝いをするイーファの後ろに立った。そして、そろりとイーファのズボンの両端をつかみ、一気に下げた。


 「あははははっ!! イーファよ。兄を馬鹿にするから……だ?」



 「おっと……!」 

 イリアが咄嗟にスカートでイーファを隠した。


 「イオ、女の子をイジメちゃダメでしょ」


 イーファは眉を吊り上げ、俺のことを睨んだ。


 ふっ、気にするな妹よ。

 兄とは妹のパンツを見ようが尻を見ようが、驚くほど何も感じないものなのだ。


 だからお前だって別に……。


 パンッッ!!!


 だが、次の瞬間、俺は左頬に強い衝撃をうけて、床に転げた。イーファにビンタされたらしい。


 このクソガ……。

 

 立ち上がると、イーファは空いた手でズボンをずり上げて、顔を真っ赤にしていた。

 

 「イオのバカっ!! スケベ!! 変態!! ヒトデナシっ!! このヒキニート!!」


 ひ、ヒキニートって……。


 俺、あっちでもちゃんと働いてたし。

 こっちでも、真面目に自宅警備員してるもん!!


 「イーファ!! お前、兄を……」


 すると、イーファは目に涙をいっぱいためて叫んだ。


 「も、も、もう。ウチ、男の子に裸とか見られたことないんだからっ!!!!」


 へ?

 ウチ?


 それは、あっちの世界で何度も聞いた懐かしい一人称。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ